2019年7月24日(水)

中国経済、5月、工業生産が10年ぶり低水準
米中貿易戦争が影

米中衝突
貿易摩擦
中国・台湾
2019/6/14 20:30
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【北京=原田逸策】米国との貿易戦争が中国経済に濃い影を落としている。14日発表した2019年5月の主な経済指標では、工業生産の伸び率がリーマン・ショック直後の09年以来、10年ぶりの低水準に沈んだ。新規雇用も前年割れが続き、投資の伸びも鈍った。中国当局は深刻な地方政府の債務問題に一時的に目をつぶり、インフラ建設をふかして経済の底割れを防ぐ構えとみられる。

中国政府は景気対策でインフラ投資を急ぐ(河南省鄭州市の高速鉄道建設現場)

5月の工業生産は前年同月比5%増と伸び率は4月より0.4ポイント縮んだ。09年1~2月(3.8%増)以来の低さだ。生産全体の勢いを映す発電量もわずか0.2%増の伸びにとどまった。

目を引くのは自動車の不振で生産台数は22%減った。5月の新車販売台数は16%減と4月より減少幅が広がった。貿易戦争による先行き不安が販売の足を引っ張り、生産を押し下げる構図だ。米国が昨年に追加関税をかけた工作機械やロボットの生産も大きく減った。

都市部の新規雇用は5月に前年同月より4万人少ない138万人にとどまった。前年同月の水準を下回るのは3カ月連続だ。中国商務省対外貿易研究所の梁明所長は「貿易戦争の影響が比較的に大きいのは雇用だ」と話す。梁氏によると、地方政府は企業に「仕事を減らしても従業員のクビは切るな」と指導しているという。会社や工場内で「潜在的」な失業者が増えている恐れがある。

マンションや工場の建設など固定資産投資も1~5月の累計で前年同期比5.6%増にとどまり、伸び率は1~4月より0.5ポイント鈍った。みずほ総合研究所の三浦祐介主任研究員は「インフラ投資が伸びていない。不動産投資も規制強化で減速が続きそう」と話す。

地方政府が過去の借金でクビが回らず、新たな投資に回すお金がない。そこで習近平(シー・ジンピン)指導部は6月から、高速鉄道や高速道路では全額借金による建設を認めた。地方政府が事業費の2割のお金を自前で用意する必要があったが、今後は用意しなくても建設を認める。銀行や保険会社にインフラ事業への融資も促した。

鉄道や道路は複数の県、市、省にまたがり、幅広い地域で雇用を生む。工場で職にあぶれた農民工の雇用の受け皿とする狙いとみられる。

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