外国人の出産見守り24年 ペルー出身の産科医、愛知

2019/6/14 13:58
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南米からの移住者が多い愛知県に、外国人女性の出産を20年以上支えてきた医師がいる。名古屋市に住むペルー出身の産科医、カサノバ・エクトルさん(70)だ。古希を迎えた今も、県内の病院で不安の多い日本での出産を支援している。

外国人女性の出産を20年以上支えてきた産科医のカサノバ・エクトルさん(名古屋市)=共同

「心配ない。元気な子が生まれるよ」。診察室のボリビア人の妊婦を、優しげな目元のカサノバさんがスペイン語で励ました。「母国語だとリラックスしてもらえる」と、ポルトガル語、英語、日本語を加えた4カ国語で診察をこなす。

厚生労働省によると、国内で出産する外国人は約2万5千人(2017年)で、愛知は約2800人と東京に次ぎ多い。

カサノバさんは1980年、がん治療の研究で名古屋大医学部に留学。85年に帰国したが、母国は未曽有の不況に襲われ、ガーゼすら不足する状態に。研究もままならず再来日し、家族を養うため95年に日本の医師免許を取得した。

勤めた岐阜、愛知両県の病院では、健康相談も交えた診察が評判を呼び、東海4県から出稼ぎの南米日系人が殺到した。出産や医療制度を知らない人が多く、説明で時間が通常の3倍かかることも。「日本の病院は診察が短く、十分な相談ができないと感じる患者が多かった」と振り返る。

南米では医療保険が未発達な国が多く、来日後も日本の国民健康保険に未加入の人も多かったという。そのため、役所での手続きなどサポートも欠かせない。

「1人では限界がある」と考え、外国人の受診時に病院へ付き添う医療通訳の養成に07年から取り組んだ。愛知県は12年度に、医療通訳を病院へ派遣する仕組みを整え、改善が進む。

家族と永住するため、7年前に日本国籍を取得。70歳となり24時間体制の勤務は難しく、外国人向けの診察も、同県豊田市の病院での週1回に減った。「日本で育った外国人の子で、多言語で診察できる医者が出てほしいね」と、後継者の誕生を心待ちにしている。〔共同〕

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