2019年7月23日(火)

トヨタ、好業績も報酬減 ショック療法で危機感共有

自動車・機械
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2019/6/13 22:30
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豊田社長は「生きるか死ぬかの戦い。トヨタが死ぬのは『社内に大丈夫』という意識がまん延した時だ」と強い危機感をあらわにしている(写真は5月の決算発表会見)

豊田社長は「生きるか死ぬかの戦い。トヨタが死ぬのは『社内に大丈夫』という意識がまん延した時だ」と強い危機感をあらわにしている(写真は5月の決算発表会見)

トヨタ自動車は13日、愛知県豊田市内で定時株主総会を開いた。豊田章男社長が就任して10年になるなか、株主からは高齢者の運転事故への安全対策を求める声や、電気自動車(EV)などの成長戦略や次期社長についての質問も出た。業績は好調だが自動運転など「CASE」で業界の競争軸は変わっている。役員報酬などを減らす「ショック療法」で全社的に危機感を共有し、競争を勝ち抜く考えだ。

【関連記事】トヨタ社長の10年、変革道半ば 収益増も強まる危機感

豊田社長は株主を前に「トヨタは大丈夫だという慢心を取り除く」と強調した。その姿勢を具体的に表すのが報酬カットだ。社外を含めた取締役9人と執行役員23人(一部重複)の2019年度の役員報酬について、従来の見込み額から一律で10%下げる。今年度だけの時限的な措置だが、競争環境が大きく変わるなか、危機感を共有する狙いがある。

課長級以上の管理職では、19年夏の一時金(賞与)を前年に比べて平均4~5%減らす。課長級に相当する「基幹職」約7500人と、部長・次長級などの「幹部職」約2300人の計9800人が対象となる。

変革期に対応するため、トヨタは19年の春季労使交渉で経営トップと従業員との間で、会社が置かれた状況について議論を重ねた。しかし組合員だけでなく、役員や管理職の間に十分な危機感がない点が課題として浮き彫りになった。豊田社長は「生きるか死ぬかの戦いで、トヨタが死ぬのは『社内に大丈夫』という意識がまん延した時だ」と強い危機感をあらわにしている。

19年の春季労使交渉でも危機感の共有がテーマになった(愛知県豊田市)

19年の春季労使交渉でも危機感の共有がテーマになった(愛知県豊田市)

株主からもトヨタなど自動車産業を取り巻く環境を懸念する声は相次いだ。一つは相次ぐ高齢者のドライバーによる事故の問題だ。「安心できる車の技術開発はどこまで進んでいるのか」などの質問が出た。寺師茂樹副社長は「(アクセルなどの踏み間違いについて)ドライバーの判断や動作をもっとサポートできないかあらゆる方面で検討している」と述べた。

社長就任から10年になるなか、後継問題も株主の大きな関心だ。「次の社長は今の役員のなかに候補者がいるのか。あるいは外部なのか」との質問が出た。豊田社長は「誰が社長になっても創業の原点を見失わないことが大切。全社員が継承者だと思っている」と述べるにとどめた。

豊田社長は09年に就任して以来、大規模リコール問題など様々な課題への対応に追われた。持続的成長を目指し、地道な原価低減などで業績は大きく回復した。一方でハイブリッド車(HV)に注力するなか、EVの商品開発などでは出遅れた。株主総会前に、車載用電池で世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)との協業を取りまとめるなど、これまでにないスピードで対策を打ち始めた。

トヨタは単なる自動車メーカーから「モビリティーカンパニーへの変革」を掲げる。豊田社長は「トヨタらしさを取り戻すための改革は難しいと痛感する毎日だ。何としても私の代でやりきる」と強調し、総会を閉じた。

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