高齢者向け事業から撤退 JR四国、新たな柱の育成急務

2019/6/14 7:00
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JR四国は高齢者向けリハビリ特化型デイサービス事業から撤退する。東京の事業者と共同で2018年8~9月に香川県内の2カ所で開業したが、ノウハウの取得が難しいと判断、今月末で運営から撤退する。人口減で事業収益の6割を占める鉄道など運輸事業が厳しさを増す中、今回の反省を踏まえ、新たな収益源となる関連事業の育成が経営課題となる。

JR四国はリハビリ特化型デイサービスの運営から手を引く

運営から撤退するのは「JR四国レコードブック栗林駅前」(高松市)と「同丸亀駅前」(香川県丸亀市)の2カ所。いずれも7月1日付で共同運営していたインターネットインフィニティー(IIF、東京・品川)の単独運営となる。施設名から「JR四国」を外し、合わせて約100人の会員には従来通りのサービスの提供を続ける。

JR四国は18年6月、「全国に先駆けて高齢化が進む四国」では、駅ビル事業などと「相乗効果を発揮するのにふさわしい」として「レコードブック」のブランド名で全国展開するIIFとの共同事業に乗り出した。約4000万円を投じて高松と丸亀に施設を整備し出店。IIFから運営ノウハウを吸収した上で、開業6カ月~1年後をメドに引き継ぐ予定だった。2施設で年間8000万円の売上高の目標を掲げ、将来的には「四国内で数十店舗」の展開を想定していた。

2施設では「開業2年で計200人以上」という目標に対し、開業1年足らずで会員数が合わせて約100人に達するなど、順調に運営してきた。ただ、介護保険制度の壁が高かった。

同施設の場合、ケアマネジャーに営業をかけることになり、スタッフには専門的な知識が求められる。フランチャイズチェーン(FC)契約を結んだ後、IIFから指導を受けることは可能なものの回数は限られ、単独での運営は困難だと判断し、JR四国は運営から手を引くことを決めた。

JR四国の高齢者向け事業進出は、主力の鉄道事業を苦境に追い込んでいる高齢化を収益源にしようという「攻め」の表れだった。高速道路の充実もあって鉄道運輸収入は2019年3月期に225億円とこの20年弱で2割以上、落ち込んだ。観光列車の運行など交流人口の拡大に取り組むが、バスを加えた運輸事業の収益は年間300億円前後で頭打ちが続く。
 駅ビルなど関連事業の収益は分譲マンションや宿泊施設など新事業を矢継ぎ早に立ち上げたこともあり18年3月期に197億円と前の期から1割増えた。19年3月期も横ばいだったが、高齢者事業が順調に推移していれば、この底上げに寄与できるはずだった。
 ただ、全事業の営業損益は赤字続きで、「共同試験」と位置づけた事業から早期に撤退を決めた判断は一定の評価ができる。今回の教訓を糧に、次の柱となる事業の種をどこにまき、どう育てていくのか、経営陣の手腕が問われる。(辻征弥)
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