北島康介 五輪のミカタ

フォローする

聖火リレー、身近さが魅力 ランナーも「参加」実感

2019/6/13 17:41
保存
共有
印刷
その他

聖火リレーの走者募集が始まった。僕も日本コカ・コーラのCOO(チーフ・オリンピック担当オフィサー)として、PRに一役買う。

1928年アムステルダム五輪で聖火は復活、このときからコカ・コーラは五輪をサポート、92年バルセロナ五輪から本格的に聖火リレーに協賛している。東京五輪では約4カ月かけて、東日本大震災の被災地、福島県を皮切りに全国津々浦々をつなぐわけだが、聖火リレーほど「五輪が来る」ということ、そのワクワク感を地道に伝えられるイベントはないだろう。ランナーの大半は一般の方だ。知人や友人が走るなら、多くの人が見に行くと思う。こんな機会は一生に一度しかないから。この集客力はすごい。

20年東京五輪聖火リレーのルート概要などを発表するイベントで、トーチを手に聖火ランナーのユニホームを着て登場した公式アンバサダーの野村忠宏さん(右)ら=共同

20年東京五輪聖火リレーのルート概要などを発表するイベントで、トーチを手に聖火ランナーのユニホームを着て登場した公式アンバサダーの野村忠宏さん(右)ら=共同

64年東京五輪の聖火ランナーを務めた方たちに話を聞く機会があった。「腕の角度は90度、走る速度はこれくらい」と、細かい指示があったそう。終戦から20年もたっていない時期で、その頃の映像をみるとみんな緊張した面持ちなのは、指示に従うことに懸命で、楽しむ余裕がなかったという面もありそうだ。

ランナーもスポーツ有望な高校生らが多く選ばれたようだ。僕が所属した東京スイミングセンターの方も、まだ米国占領下だった沖縄出身の学生ということで選ばれて走っていた。みんなを代表しているといった意識は強かったのかもしれない。

その点、最近の聖火リレーは走りながら写真を撮ったり、パフォーマンスをしたり、お祭り色が強い。海外も含めた一般公募枠が増えてきているからだろう。今回の五輪では、コカ・コーラは聖火リレーのPRに人気ユーチューバーの力も借りる。かつての厳粛な趣は薄れても、この身近さはいいと思う。

北島康介氏

北島康介氏

ラッキーなことに、僕は2008年北京五輪と18年平昌五輪で聖火ランナーを務める機会があった。聖火が長野に来た08年時はまだ現役だったから、五輪で結果を出すことに必死すぎて、正直「なぜ僕が」という思いはあった。

走って気は変わった。沿道は人だかりで、たくさん声をかけてくれた。「こんなに五輪を応援してくれる人がいるんだ」とダイレクトに感じた。五輪アスリートは大勢のファンと触れあう機会が少ないから、うれしかった。僕を知らない人が多いはずの18年大会で蔚山を走った時もそうだったから、一般公募のランナーの方も「五輪に参加した」と感じられると思う。

そして最終点火者は誰になるのか。往年のスター選手か。火矢を射った92年バルセロナ五輪のように度肝を抜くのか。55年前は原爆が落ちた日に広島で生まれた青年だった。どんなメッセージが込められるのか楽しみにしたい。

(北島康介)

北島康介 五輪のミカタをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

五輪関連コラム

電子版トップスポーツトップ

北島康介 五輪のミカタ 一覧

フォローする
柔道の世界選手権男子66キロ級準決勝で阿部(左)を破った丸山

 8月末~9月に行われた柔道の世界選手権に行った。競技ごとに独特の空気があるけれど、柔道は「モワッとした熱気」。会場が日本武道館だっただけに、その匂いがいい感じに籠もっていた。
 個人的に柔道と縁が深い …続き (9/26)

男子200メートル平泳ぎは史上まれに見るハイレベルな接戦だった。優勝したチュプコフ(中)、渡辺(右)=ロイターロイター

 先月の競泳の世界選手権はメチャクチャ面白かった。五輪を控え、「強い」と思えるスターがやっぱり出てきた。
 男子200メートルバタフライを世界記録で制したミラク(ハンガリー)、女子背泳ぎで2つの世界記録 …続き (8/23)

陸上日本選手権の男子100メートルで、10秒02をマークして優勝したサニブラウン=共同共同

 東京五輪の顔になりそうな人が出てきた。陸上のサニブラウン・ハキーム選手(20、米フロリダ大)。自分と同じ東京都豊島区の学校を出た親近感もあって、6月末の陸上の日本選手権を現地で見た。
 100メートル …続き (7/18)

ハイライト・スポーツ

[PR]