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フェンシング見延、激戦区エペでめざす王者

2019/6/13 17:24
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日本のフェンシングといえば、国内の競技人口が多く、太田雄貴・現日本協会会長らを輩出してきたフルーレ種目が中心だった。そんな状況に風穴を開ける活躍を見せているのが、エペ種目の世界ランキング2位、見延和靖(ネクサス)だ。全身が標的となり、ルールも単純明快なエペは体格雄偉な選手が集い、「キング・オブ・フェンシング」とも称される。東京五輪で王者を狙う31歳も「ここで勝つことに価値がある」と熱を帯びる。

「エペはやるか、やられるか。最もすがすがしい」と同種目への思い入れは人一倍だ。

「エペはやるか、やられるか。最もすがすがしい」と同種目への思い入れは人一倍だ。

先月出場したワールドカップ(W杯)パリ大会で、見延は出場選手数に目を丸くした。372人。同時期に同じ欧州で開催されたフルーレ、サーブルのW杯のざっと1.6倍だ。改めて自らが身を置く戦場の大きさに武者震いした。

頭の先から足裏まで全身が有効面(フルーレは胴体のみ、サーブルは上半身まで)で、先に突いた方に得点が入る。わかりやすい勝負が磁力となり、選手が集まる。見延もエペの魅力にひき付けられた一人だった。

父の勧めで福井・武生商高入学と同時にフェンシングを始めた。フルーレを専門とした当初からエペに興味があった。小学校の6年間は空手に親しみ「体が大きかったら格闘家になりたかった」というファイター気質。フルーレの優先権ルール(先に相手に剣先を向けた方にのみ得点権が生じる)はまどろっこしくて性に合わなかった。「エペはやるか、やられるか。最もすがすがしい」

とはいえ、集う者が多いということはそれだけ競争は厳しく、山は高い。法大3年だった08年にエペに転向した見延も、すぐに結果が出たわけではない。同年に初参戦したW杯で初勝利を挙げるまで7年を要した。

5月のコロンビア・カリ大会で勝ち、グランプリ2連勝を飾った見延(右)=共同(撮影Augusto Bizzi/FIE提供)

5月のコロンビア・カリ大会で勝ち、グランプリ2連勝を飾った見延(右)=共同(撮影Augusto Bizzi/FIE提供)

身長190センチ超の選手も珍しくないエペで、177センチの見延は小柄な部類だ。その差を埋めるには創意工夫が欠かせない。身長より20センチも長い自慢のリーチを少しでも伸ばすべく、剣は棒状のフレンチグリップで端ギリギリを握る。操作性はピストルのように握るベルジアングリップより難しいが、指先の感覚を研ぎ澄ませて細かな剣さばきを磨いてきた。

細かくステップを刻みながら圧力をかけ、相手を誘い出して仕留めるのが見延流。足突きと矢のように走りながら突く「フレッシュ」が得意だ。

日本協会はこれまでフルーレに強化費を集中投下してきた。その中で北京、ロンドンの五輪銀メダルがあった。見延もW杯初Vを飾るまで海外遠征も自費だったという。「フルーレへのライバル意識はありましたね。自分たちも結果を出して現状を変えてやる、と」

7月で32歳になるが、「あと10年はやりたい」と意欲満々だ。

7月で32歳になるが、「あと10年はやりたい」と意欲満々だ。

この数年、その思いを現実に変えている。リオデジャネイロ五輪ではエペ初の入賞(6位)を果たし、昨年はW杯で2勝。今年は年に3大会しか行われないグランプリ(GP)で3月、5月と2度勝ち、この間には後輩たちとW杯団体戦で初優勝も飾った。本人も「間違いなく過去最高の状態にある」と言い切る。

近ごろ、シンプルであるがゆえのエペの奥深さが分かってきたという。「同時に突いても一瞬迷って肘が縮んだ分、ランプが付かなかったりする。そういう時に得点するのは大体ベテランなんです」とにやりと笑う。見延を含め現在世界ランクの上位4人はいずれも30代だ。「あと10年やりたい」と血気盛んなエースは、千葉で始まったアジア選手権で15日に個人戦、18日に団体戦に臨む。(山口大介)

 東京五輪ではエペ、フルーレ、サーブルの個人、団体の男女計12種目が行われる。来年4月4日までの1年間、国際大会で獲得したポイントに基づくランキングで決まる。現在、見延のほかには同じ男子エペの加納虹輝(早大)が6位、女子フルーレの東晟良(日体大)が12位につける。
 個人枠に加え、日本として切符獲得を目指すのがリオ五輪で一つも出場できなかった団体戦だ。ランキング上位4位までに入るか、5位以下でもアジアで最上位になる必要がある。レースは始まったばかりとはいえ、現時点で出場圏内にいる種目はない。アジアのライバルに後れを取らないためにも、13日に千葉で開幕したアジア選手権は好成績が欲しい。

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