2019年8月26日(月)

香港デモ隊、警官隊と衝突 70人以上が負傷

2019/6/12 18:36 (2019/6/13 0:14更新)
保存
共有
印刷
その他

警察当局はデモ隊に催涙弾を発射した=AP

警察当局はデモ隊に催涙弾を発射した=AP

【香港=木原雄士】香港で拘束した容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案に反対する香港の市民や学生数万人が12日、立法会(議会)の建物を取り囲み、周辺の幹線道路を占拠した。警官隊が催涙弾やゴム弾を発射して強制排除に乗り出し、香港メディアによると70人以上の負傷者が出た。立法会は同日予定していた改正案の審議再開を見送ったが、混乱が続く可能性がある。

デモ隊が早朝から占拠したのは、行政長官選挙の民主化を求めた2014年の「雨傘運動」と同じ道路だ。時間を追うごとに参加者が増え、数万人に達した。「(9日の)100万人デモを気にかけずに、まったく聞く耳を持たない行政長官に怒りを覚えた」。抗議に参加した会社員の唐さん(24)はこう話した。

香港政府ナンバー2の張建宗政務官は衝突に先立って緊急ビデオメッセージを発表し、「早期に解散し、違法な行為に身を投じてはいけない」とデモ隊に占拠解除を求めた。午後に入って立法会の敷地内に突入した若者と警察の間で衝突が起き、警察は催涙弾や放水で強制排除を開始。学生らは傘を投げつけるなど激しい応酬になった。衝突後も若者らは周辺に残り、警官隊とにらみ合いを続けた。

香港政府トップの林鄭月娥行政長官は12日夜に声明を発表し、デモ隊の道路占拠や警察への攻撃について「平和的な集会ではなく組織的な暴動であることは明白だ」と強く非難した。「香港全体の利益のために、平和的な方法でいかなる問題も解決できる」とも指摘したが、条例改正手続きを予定通り進めるかどうかには言及しなかった。

経済活動への影響も出始めている。香港株式市場は混乱を嫌気して全面安となり、ハンセン指数は前日比1・73%下げた。香港取引所や不動産会社など主力株が軒並み下落した。

■経済界・外資も条例反対

香港で「逃亡犯条例」改正案への反対が広がったのは、民主派の若者だけでなく、中国政府に近い立場を取ってきた経済界も本音では拒否反応を示しているためだ。外資系企業も従業員が中国本土への引き渡し対象になりかねないと警戒を強めており、アジアの金融センターの地位が揺らぎかねないとの懸念もある。

在香港米国商工会議所のタラ・ジョセフ総裁は日本経済新聞に「(100万人デモは)条例への懸念がいかに深く、裾野が広いかを示す。改正の撤回や延期を求める」とコメントした。

中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長がカナダの司法当局に逮捕されるなど、米中対立は激しさを増す。中国政府の報復措置で香港で従業員が拘束され、中国に引き渡されかねないとの懸念が外国企業には強い。

香港政府は引き渡しの対象から経済犯罪を除いたが、「共産党の支配下にある中国の公安当局が容疑をでっち上げる恐れがある」との見方は消えない。米国務省は「米国市民が中国の予測できない司法制度にさらされる可能性がある」(オルタガス報道官)と警告する。

デモ隊に催涙弾を発射する警察官(12日、香港)=ロイター

デモ隊に催涙弾を発射する警察官(12日、香港)=ロイター

香港は2018年の新規株式公開(IPO)調達額で世界1位になるなどアジア有数の金融センターだ。香港政府が条例改正を強行すれば、米投資銀行などがアジアの統括拠点の移転を検討し、金融センターが空洞化する恐れがある。

普段は実利を重視する香港市民にも「司法の独立が失われれば、自らの身に危険が及ぶ」との危機感が募る。12日は地元の銀行や小売店、旅行会社などが臨時休業や、従業員に自宅勤務を認める措置を取った。デモへの参加を容認する動きと受け止められている。

条例改正案を採決する立法会は定数70のうち、親中派が43議席を握る。経済界を支持基盤とする一部の親中派議員は慎重姿勢を示していたが、中国政府の香港出先機関は議員を呼び出すなど引き締めを図る。

米国との貿易戦争が激しくなるなか、香港の民主派の要求に屈する弱腰を見せられないと判断した習近平(シー・ジンピン)指導部が「事態収拾に乗り出した」(外交筋)との見方も出ている。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。