JR東海、リニア関連社員を1割増員
JR東海の金子慎社長は12日の定例記者会見で、リニア中央新幹線に関わる部署の社員を7月の定期異動で1割増やし1480人にすると発表した。同時に沿線で用地取得を担う部門を新設する。現時点で本体工事が未着工となっている静岡県内の工区については「なんらかの措置やご指導をしていただけるとありがたい」と述べ、国の調整に期待を示した。
金子社長は名古屋市内で開いた会見で「一層の体制強化を図り、計画を着実に進めていく」と話した。増員するのはリニアを担当する「中央新幹線推進本部」。150人増員する。これまで担当が分かれていた用地取得交渉に関しては「用地部」を設ける。沿線自治体への説明会や権利者との契約締結などを手がける。
大阪までの全線開業を見据え、新たに名古屋以西のリニアの準備を専任する担当部長も置く。2027年を目指す東京―名古屋間の開業後、大阪への延伸に速やかに着手できるようにする。大阪府、奈良県、三重県などとの意見交換を重ね、駅位置の選定に向け準備を進める。
リニア中央新幹線の建設を巡っては、沿線に近い大井川の流量減少問題で静岡県と折り合いが付いていない。一部でトンネル工事に着手できておらず、27年の開業予定に影響が出ると懸念されている。