感情認識する脳部位を特定 心の機能残す手術に応用も
他人の表情から怒りの感情を読み取る機能が、こめかみの奥にある脳の「島皮質」という部分にあることを発見したと、名古屋大の本村和也准教授(脳神経外科)、慶応大の梅田聡教授(認知神経科学)らのチームが12日までに、脳構造と機能の専門誌に発表した。
脳の中で多様な心の機能を担う部分が解明されていけば、手術の際にできるだけその部分を残し、手術後も感情を認知する力や感情の豊かさ、意欲などを保てるようになると期待される。
脳腫瘍の摘出手術では、途中で患者を一時的に麻酔から覚めさせ、会話をしたり手足を動かしたりしてもらいながら言語や運動にかかわる部分を特定し、機能を残す方法を取ることがある。
チームはこのような手術を受ける18人に協力を得て、手術中に目覚めた状態で、さまざまな表情の写真から感情を推測するテストを受けてもらった。その際、島皮質の前側に弱い電気刺激を与えると、微妙な表情からでも怒りの感情を読み取れることが分かった。その部分を摘出した後は、怒りを認識する能力が低下したという。〔共同〕