2019年6月21日(金)

中国、地方政府の資金調達支援 インフラ建設を促進
貿易戦争で景気対策

米中衝突
貿易摩擦
中国・台湾
2019/6/12 5:50
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中国はインフラ建設の加速へ地方政府に借金させる(中国湖南省の道路建設現場)

中国はインフラ建設の加速へ地方政府に借金させる(中国湖南省の道路建設現場)

【北京=原田逸策】中国国務院(政府)は、地方政府がインフラ建設資金を調達するのを後押しする。金融機関に採算の良いインフラ事業への融資を促すほか、資金不足により建設途中で止まった事業には違法な「隠れ借金」を事実上容認する。インフラ建設を加速し、米国との貿易戦争による景気の下押し圧力を和らげる狙いだが、経済の借金依存体質はさらに深まる恐れがある。

中国ではインフラ建設のほとんどは地方政府が手掛ける。地方政府の資金調達は法律で厳しく制限しているが、実際には違法な「隠れ借金」が膨らんでいる。習近平(シー・ジンピン)指導部は地方債務が将来の金融危機の引き金になりかねないとみて、隠れ借金を厳しく制限する代わりに、合法的な資金調達手段を拡大してきた。

その柱がインフラ建設にあてる特殊な債券の発行枠の拡大だ。2019年は前年比8千億元多い2兆1500億元(約34兆円)に増やした。ただ、インフラ建設は年17兆元もあり、債券だけではとても足りない。

資金不足で19年1~4月のインフラ投資も前年同期比4%増にとどまる。インフラ建設を加速するため、国務院と共産党中央が10日、地方政府の借金制限を緩める通知を出した。

具体的には、まず採算の良いインフラ事業は債券の資金だけでなく銀行や保険会社に融資を促す。次に、国家主導の高速道路や高速鉄道などの事業については、債券発行で調達した資金を資本金に算入することを認める。資本が厚くなれば銀行が融資しやすくなる。

最後に隠れ借金が発覚して途中で建設が止まった事業については、隠れ借金の残高が増えないことを条件に銀行が融資を続けることを認める。新規のインフラで違法な借金をするのは認めない。

中国は17年から企業や地方政府の債務削減に乗りだし、総債務の国内総生産(GDP)に対する比率が安定するなど一定の成果をあげた。一方で18年には信用収縮が起きて多くの民間企業が倒産し、債務削減を事実上棚上げした。今回の政策は債務削減から債務膨張へ政策を軌道修正することを意味する。

中国では08年のリーマン・ショック後の累次の経済対策で、採算の取れるインフラ建設はほぼ終わっている。残っているのは採算が取りにくい事業が多く、調達した資金を返済できるかどうかは疑問符がつく。

このため今回の通知ではインフラ債券の償還義務を各省に負わせた。本来ならばインフラ事業の収益を返済原資にするはずだが、省に責任を負わせて債券発行が滞らないようにする狙いだ。銀行窓口での個人投資家への販売も奨励した。

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