携帯大手3社、料金プラン再検討も 楽天の出方注視

総務省が携帯電話の違約金について新たな方針を示し、通信各社には衝撃が広がっている。NTTドコモとKDDIは9500円の違約金を前提にした新プランを6月から適用したばかりで、今回の総務省の動きは想定外だった。各社は新たなプランの策定など対応を迫られる。各社は割安な料金を提示するとみられる楽天もにらみ、価格戦略は混沌としている。

「違約金1000円は正直安すぎる」。通信大手の幹部は通信料の引き下げ議論が思わぬ事態につながりこう感想を漏らした。違約金が現状の9500円から下がると通信3社には収入減となる。それ以上に影響が大きいのは消費者が気軽に他社に乗り換えやすくなる点だ。毎年の解約数を契約数で割った解約率をみると、3社とも現状は1%未満だ。解約の違約金が大幅に下がると、解約率は上昇しそうだ。
ドコモは1日から通信料を最大で4割引き下げる新たな料金プランを提供し、KDDIも同日からデータ使用量1ギガ(ギガは10億)バイトまでなら月額1980円で使えるプランを始めた。ともに9500円の違約金が前提で、今後見直される可能性がある。
一方、ソフトバンクは楽天参入の影響を測りつつ場合により値下げに動く見通しだ。傘下の格安ブランド「ワイモバイル」で低価格帯の需要に対応し、料金の変更は微調整にとどめるとしていたが料金戦略の見直しを迫られる。通信各社が固定回線とのセットなどで、新たな囲い込みに動く可能性もある。
端末割引の上限2万円という方針も各社の販売施策に影響を与える。回線契約の継続を前提に端末の分割料金の一部を免除するKDDIやソフトバンクの「4年縛り」は見直しを余儀なくされる。ドコモが新たに始めたスマートフォンの端末代金の支払いを最大で3割免除する販売方法も場合によって修正が必要になりそうだ。