2019年7月17日(水)

世界の個性、心は一つ
日本育ち、恩返し誓う

ラグビーW杯
2019/6/17 16:20
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代表入りに国籍を問わないラグビーはダイバーシティー(多様性)を体現しているスポーツだろう。4年前は約3割を占めた日本代表の海外出身選手の比率も、今大会はさらに高まって過去最高になる可能性がある。ルーツは違っても桜のジャージーを着ることで結束し、日本のために体を張る覚悟でいる。

パワーとスピードを兼ね添えるレメキは、オーストラリアから迷わず来日した

パワーとスピードを兼ね添えるレメキは、オーストラリアから迷わず来日した

豊富な運動量とボールを奪う技術に加え、チームのリーダー役として期待されるのがピーター・ラブスカフニ(クボタ)。スーパーラグビーのチーターズやブルズでキャリアを重ねた南アフリカ出身のフランカーは2016年からクボタに所属し、サンウルブズでもプレーする。代表入りに必要な「3年居住」の条件をクリアする見込みだ。

13年に南アの代表合宿に参加した経験があるが、日本人の勤勉さに触れ、「驚くほど素晴らしい環境ですごくフレンドリー。長く滞在したいと思った」。日本代表としての道を選ぶことは大きな決断だったが「声がかかって光栄だった」と語る。

代表候補ではリーダーの一人としてチームを統率し、リーチ・マイケル主将(東芝)の代役でゲーム主将も務めた。「互いの文化、特性を尊重して高め合い、切磋琢磨(せっさたくま)できていることが本当にいい」。強豪国で育ち「周りのためにハードワークすること」を植え付けられた選手がチームに与える好影響は計り知れない。

ラブスカフニ(中央)はチームのリーダー役として期待されている

ラブスカフニ(中央)はチームのリーダー役として期待されている

189センチのラブスカフニのように強豪国との体格差を埋める海外出身選手の存在は貴重だ。サモア出身のラファエレ・ティモシー(神戸製鋼)は186センチのCTB。左足で放たれるキックは正確で、ランやパスも柔らかく巧み。スカウトされて来日し、山梨学院大からトップリーグに進んで腕を磨いてきた。「いろいろ自分に機会を与えてくれた国に恩返しする気持ち」で17年に日本国籍を取得した。

日本で実力を付けた"日本育ち"の代表例といえば、15歳でニュージーランド(NZ)から来日し、世界的な選手になったリーチ主将だろう。他にも多彩な顔ぶれがそろい、韓国出身の具智元(ホンダ)は中学時代から日本のラグビーを学び、代表候補に名を連ねたひとり。日韓両国の懸け橋となるべく「自分がW杯に出て関係が良くなるよう活躍したい」とも語る。

7人制日本代表でリオデジャネイロ五輪に出場したレメキ・ロマノラバ(ホンダ)はNZから移住したオーストラリアのクラブで働きながらプレーしていたが、競技に専念できるオファーを受けて迷わず来日している。ラグビーは世界的にサッカーなどより給与水準が低い。その中で日本のトップリーグは大企業がチームを保有し、経済的に恵まれた環境が多くの選手の日本行きを後押ししてきた。その延長線上に今の代表がある。

リーチ主将は海外出身者が多くなっても「日本のラグビーが一番うまくいっている」と自信を持つ。そして「日本代表はこれから先も外国人が必要」とも。W杯で一丸となって戦う姿は、海外から人がやってきて国際化が進み、価値観が多様化する日本社会の未来を映す鏡となるだろう。(渡辺岳史)

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