台湾総統選の与党予備選、蔡・頼氏が接戦 週内にも決着
対中政策が焦点、蔡政権レームダック化も

中国・台湾
2019/6/11 14:05
保存
共有
印刷
その他

【台北=伊原健作】2020年1月に実施される台湾の次期総統選挙を巡り10日、台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)の公認候補者を決める世論調査が始まった。2期目を目指す現職総統の蔡英文氏(62)と前行政院長(首相)、頼清徳氏(59)の接戦になっている。穏健派の蔡氏に比べ頼氏は独立志向がより強く、公認を勝ち取れば中国が警戒を強めそうだ。

台湾の蔡英文総統は、総統選に向けた民進党の予備選で敗れれば20年5月に任期満了での退任が確定する(5月、台北市内)

台湾の蔡英文総統は、総統選に向けた民進党の予備選で敗れれば20年5月に任期満了での退任が確定する(5月、台北市内)

民進党の世論調査は住民全体が対象で、10~14日に行い、16日までに結果が判明する見通し。最大野党・国民党で高雄市長の韓国瑜氏(61)や、無党派の台北市長・柯文哲氏(59)と争う際の支持率を蔡・頼氏がそれぞれ競い、優勢だった方が公認候補となる。

総統選自体の選挙情勢では、対中融和路線の国民党の優勢が続いていたが、直近で民進党側が追い上げている。香港で9日、中国本土に刑事事件の容疑者を引き渡せるようにする「逃亡犯条例」の改正案に反対する大規模な反中デモが行われた。台湾でも対中警戒感が高まり、中国と距離を置く民進党側に追い風が吹きつつある。

公認争いの最大の焦点も対中政策だ。8日の政見発表会で蔡氏は16年の政権発足以降、「台湾は一貫して国際社会のトラブルメーカーにならず、米日などと友好関係を深めてきた」と実績を強調。台湾の独自性を守りつつバランスも重視する外交手腕への支持を訴えた。

蔡氏は生活水準の引き上げ策などで成果を出せず、人気が低迷。昨秋の統一地方選での大敗を受けて党主席を引責辞任した。敗れれば20年5月の総統退任が決まる。政権のレームダック(死に体)化は避けられない。

対中強硬姿勢の強い、民進党の頼清徳・前行政院長(4月、台北市内)

対中強硬姿勢の強い、民進党の頼清徳・前行政院長(4月、台北市内)

頼氏は中国の台湾統一に向けた介入策などを防ぐ機関「国土安全部」の創設を提唱。「台湾は第2の香港にはならない」と強硬姿勢をにじませる。

頼氏は17年に「私は台湾独立を主張する政治家だ」と公言し、中国が猛反発した。独立を実際に推進はしないというが、出馬の背景には独立派の後押しがある。公認候補となれば「敏感さを増す両岸(中台)関係に不確定要因が増すことになる」(台湾の政治研究者)との声が出ている。

人気に陰りが出ていた蔡氏だが、直近では支持率で頼氏を数ポイント上回る調査も出始め、接戦になっている。

一方、国民党は7月上旬にも世論調査で公認候補を決める見通しだ。韓氏が優勢だが、前立法院長(国会議長)の王金平氏(78)が6日に予備選から撤退すると表明。王氏の支持者が鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長(68)に流れる可能性があり、郭氏にもチャンスはある。無党派の柯氏は与野党の公認候補が出そろってから出馬を表明するとの見方が強い。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]