米航空・防衛の再編進む UT・レイセオン合併

2019/6/10 19:00
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【ニューヨーク=中山修志】米航空・機械大手のユナイテッド・テクノロジーズ(UT)と米防衛大手レイセオンが2020年に合併し、航空宇宙・防衛産業で世界2位に浮上する見通しとなった。合併会社の売上高は740億ドル(約8兆円)規模となる。両社の合併が、米防衛産業でさらなる再編の機運を生む可能性もある。両社が10日に記者会見し、新会社の詳細を説明する。

米レイセオンは地対空ミサイル「パトリオット」防衛システムの製造企業としても知られる(2012年4月、防衛省内に配備されるパトリオット)=AP

米レイセオンは地対空ミサイル「パトリオット」防衛システムを製造する(2016年、防衛省)

新会社の社名は「レイセオン・テクノロジーズ」とし、UTのグレッグ・ヘイズ最高経営責任者(CEO)がCEOに就く予定だ。新会社は、商用部門と軍用部門が5割ずつを占める。合併後の売上高は米ロッキード・マーチン(約537億ドル)と欧州エアバス(719億ドル)を上回り、業界トップの米ボーイング(1011億ドル)に迫る規模となる。

民間機の航空システムなどを得意とするUTと軍用部門に強いレイセオンが統合し、互いの技術力を両分野に生かす。レイセオンの広域ミサイルシステムに、UTの全地球測位システム(GPS)の専門技術を生かすといった連携が考えられるという。

新会社は売上高の約3割が軍用機やミサイルなど米軍向けの防衛関連になる見通し。6万人の技術者と年間80億ドルの開発予算を投じ、最新の航空機システムやミサイル開発に取り組む。技術の共通化などで年10億ドルのコスト削減効果を見込んでいる。

航空宇宙・防衛産業では技術向上やコスト削減のためのM&A(合併・買収)が活発になっていた。ボーイングは18年にブラジル・エンブラエルの小型機事業買収を発表した。UTは18年11月に総額300億ドルを投じて航空システム・機器大手のロックウェル・コリンズを買収した。

UTとレイセオンの合併は、米トランプ政権が防衛機器のコスト削減を関連企業に強く求めていることも背景にある。米政府は軍用機やミサイルなどの予算を増やしているが、18年の大口発注はボーイングとロッキードが分け合い、レイセオンは受注を逃がすケースが目立った。

今回の合併により、米航空・防衛産業の上位はロッキードとボーイング、レイセオン・テクノロジーズの3陣営に集約される。レイセオンは合併によるコスト削減の5割を納入価格の引き下げに充てる方針だ。米政府からの受注を巡り、5大防衛企業のうち残るノースロップ・グラマンとゼネラル・ダイナミクスを含めた再編機運が高まる可能性もある。

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