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「僕はユニクロじゃない」藤原ヒロシ、ブルガリと組む

ストリート系デザイナー、高級バッグに遊び心

「ストリートファッションのカリスマ」藤原ヒロシさん。「女性ものを作るのは初めて。僕が出せるぎりぎりのブルガリらしさに挑戦しました」と話す(東京都中央区のブルガリ銀座タワー)

「ストリートファッションのカリスマ」といわれ、「フラグメント(fragment design)」としてデザイン活動を行うクリエーター、藤原ヒロシ氏がこのほど、ブルガリと組みバッグコレクション「BVLGARI×FRGMT」を発表した。ファッション業界では外部デザイナーを起用したコラボ商品の投入が盛ん。意外性のある人物の起用はブランドを活性化させるスパイスとなり、顧客の裾野拡大にもつながる。藤原氏にコラボ商品開発の背景やブランドビジネスの変化について聞いた。




■ブルガリを買ったこともなかった人が目に留めてくれたら

――これまで手掛けてきたルイ・ヴィトンやモンクレールなどとのコラボと、ブルガリとの取り組みとは何が違いますか。

「ラグジュアリーブランドは実は僕にとっては対極にあるもの。特にブルガリは、自分が着る服や、やってきたことなどからすると一番対極にあるものかもしれませんね。ブルガリの商品はこれまで持ったことがなかったですし、宝飾品でもバッグの革の品質一つとっても自分とは反対側にあった。だからかえってアンバランス感を出せて面白いかなと思いました。女性ものを作るのは初めてですし」

藤原さんはこれまでルイ・ヴィトン、モンクレール、タグ・ホイヤーなどとコラボに取り組んできた

――ブルガリの蛇のモチーフ「セルペンティ」の解釈やバッグに配したロゴがモダンで大胆。若い子を意識されましたか。

「若い子というか、違う層に訴えるといいますか。蛇の頭の留め具には稲妻のロゴを入れたりしました。(半分切れたようにみえる)BVLGARIのロゴは僕が服を作るときに、ロゴの上からポケットを縫い付けて、半分ロゴを見えないようにするやり方があり、その延長上です。デニムはブルガリからのアプローチもありました。ブルガリを買ったこともなかった人が目に留めてくれたらいいですよね」

ロゴが大胆に配された、ブルガリ初となるデニム素材のバッグ。蛇のモチーフには稲妻ロゴもみえる

――ではかなり自由にデザインができたのですか。

「ブルガリは『これはやりません』とはっきりしていますよ。僕はルールがあった方がやりやすい。『これは難しい』と相手にいわれたら次から次へと違う方向へ進むタイプなんです。革のブランドなので布とかナイロンはできません、とかね。デニムも革がベースです。トートバッグは僕がゼロから作るなら、くったりしたものを考えますが、形がしっかりしているでしょう。僕が出せるぎりぎりのブルガリらしさに挑戦しました」

トートバッグはストリートファッションと高級素材とを融合させた、都会的なデザイン

■ファッションはもっと、いびつなものでいい

――あらゆるブランドがコラボ商品に力を入れています。コラボビジネスの変化を感じることはありますか。

「昔はコラボの取り組みは面白そうだからやろう、という関係性から始まったものですが、今は良くも悪くもビジネスライク。ラグジュアリーブランドは2000年以降ストリート志向になりましたが、2015年からまたラグジュアリーに寄っていっているのではないかと思います。今回のブルガリとのコラボでも、守るべきブルガリらしさというのは高級感です」

柔らかな革を使ったトートバッグ
コレクションの基調色はホワイトとブラック。ブルガリとフラグメントのロゴが印象的だ

――多くのブランドがユニセックスやジェンダーフリーをうたい、男女の境界をなくす商品が増えてきました。

「それはファッションというよりライフスタイルでしょう。ファッションはもっと、いびつなものでいい。着心地が悪いものはファッションの中にはいくらでもあります。みんなのためだとか、着心地がいいとか、ジェンダーフリーでみなさんに着てもらうとか語らなくても、これが着たかったら無理してでも着て下さい、というものでいいのではないでしょうか」

――ユニクロはあらゆる人の生活に合う服「ライフウエア」をうたっています。

「ユニクロは最高のライフスタイルブランドですが、ファッションブランドではありません。無駄だといわれても洋服にチェーンをつけるし、この時代におかしいだろうといわれても革を着る。それがファッションなんです。僕はユニクロを1回も買ったことがないし、着たこともありません。興味がない。自分の中ではユニクロはもう一生買わないようにしようと決めたんですね。違う理念を持った、違うものだからです」

蛇をモチーフにしたアイコンバッグ「セルペンティ」に遊び心を加えた
エッジが効いたレザーグッズ。このほかにもバンダナといった男性も楽しめる商品をそろえた

■僕らが求めるのはマイノリティーのかっこよさ

――服そのものでなくても、ユニクロの発信の仕方や海外での展開などにも関心は向きませんか。

「そもそも僕は何億枚も売れる物を作りたくはありません。数を売りたくてやるものはファッションではない。ところが売れる物は作りたいのです。ここにジレンマがあります。また、人と同じ格好はしたくないといいながら、あるグループとは同じ格好をしたいわけです。そうしたファッションのジレンマというものをいつも抱えています」

「絶対数をどう見るかがファッション。僕らが求めるのは、マイノリティーのかっこよさといえます。マイノリティーを保つことが難しい。すぐにメジャーになってしまいますから」

「何億枚も売れるような服には興味がないし作りたくもない。共感してくれる人に買ってもらいたい」と話す藤原さん

――ブルガリとのコラボでも爆発的に売れるのは嫌だと。

「ブルガリとのコラボも本当にみんなに買ってもらいたいわけではない。共感して下さる人に買ってもらえて、その人たちが喜んでくれるのが一番うれしいですね」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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