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豊島逸夫の金のつぶやき

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いまや「株価本位制」に

2019/6/10 10:09
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米ニューヨーク(NY)株は先週、週間で1168ドル上昇した。特に注目されるのは、経済データが悪化すれば利下げ期待が強まり、株が買われていることだ。

7日発表の5月の米雇用統計も、非農業部門の新規雇用増は事前予測を大きく下回る7万5000人にとどまった。しかも3月分や4月分も下方修正され、3カ月平均では15万1000人に低下した。

さらに、直近の米中関係の悪化がいまだ反映されていない。雇用統計の2日前に発表された民間雇用サービス会社のADP雇用リポートも2万7000人増と9年ぶりの低水準を示していた。ADPと雇用統計が同時にかなりの悪化を示すことは珍しい。今回は一過性の下げとは必ずしも言いきれない面が気になるところだ。

雇用統計の悪化により米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月にも利下げに動く確率が8割を超えた。結果的に「悪いニュースは良いニュース」となった。

いっぽうで、米国とメキシコの合意による関税引き上げ撤回の報道は素直に歓迎されている。この問題も重要視され利下げ要因の一つと見なされてきた経緯があるが、ここでは「良いニュースは良いニュース」と扱われている。

週末のこの報道を受け、月曜日のアジア時間のダウ工業株30種平均は時間外取引で一時100ドル超の上昇を示しているのだ。NY市場は隣国メキシコ関連の材料に敏感に反応するので、今日のダウ平均株価は上昇が見込まれる。

いかにも市場の「いいとこどり」が目立つが、これはあくまで短期筋の反応である。

年金基金などの長期マネーは、利下げ観測の根拠になっている経済悪化を重視し、かつ吟味して動く。そもそも短期間に引き締めから緩和へ金融政策を転換した米連邦準備理事会(FRB)に不信感を抱いている。昨年12月に利上げを強行して市場大混乱を誘発した事例がトラウマになり、反動で利下げを急ぎ過ぎているのではないか、との疑念が根強い。

FRBはインフレ率より株価変動に反応して動いている、との指摘も少なくない。トランプ大統領も株価を重視しており「株価本位制」などと言われるのだ。

それゆえ長期マネーは、振れの大きい「利下げ確率」を「ノイズ=雑音」と扱い、じっくり米経済減速の実態を見極めている。

先走り気味の市場を冷静に見守る投資家も少なくない。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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