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始まりから不変のルール「野球は3アウト」の妙
編集委員 篠山正幸

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2019/6/11 6:30
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「フォーアウトを取る野球は難しいということですねえ」。巨人・原辰徳監督が、しみじみと語ったのは岡本和真の"凡飛"が、東京ドームの天井に当たって安打となったことから逆転勝ちした中日戦(5月2日)のあとだった。フォーアウト? 待てよ、そういえばなぜ、野球の攻守交代はツーアウト制でもなく、フォーアウト制でもなく、スリーアウト制なのだろう。

取れるはずのアウトを取れないと…

あまりにも当たり前すぎて、普段は意識しないが「スリーアウトでチェンジ」というルールは、ほどよいゲーム性を野球に与える、という意味で絶妙のようだ。

5月2日の中日戦で天井へ当たる三塁適時内野安打を放つ巨人・岡本=共同

5月2日の中日戦で天井へ当たる三塁適時内野安打を放つ巨人・岡本=共同

9イニング制と相まって、よほどの実力差がないかぎり、いわゆる"ラグビースコア"のような点数にはならず、試合時間もアマチュアからプロに至るまで、他のスポーツや映画などのエンターテインメントと同程度の2~3時間程度に収まる。これがツーアウト制やフォーアウト制だと、またややこしくなって、単にイニング数を増やしたり減らしたりするだけで、時間や得点数をうまく調整できるだろうか、ということになってくる。

もし、失策などがあって、取れるはずのアウトを取れず、守備側が1イニングのなかで、本来は要らない4つ目、あるいは5つ目のアウトを取らねばならない羽目になった場合、試合がたちまち壊れる恐れが出てくる。

特に天井弾といった特異な"事故"で、余計なアウトを取らなければならなくなった場合は、誰に責任があるわけでもないだけに、やるせないものがある。さきの原監督のコメントは、スリーアウト制だから保たれている野球というゲームのバランスの妙に触れたもの、ともいえる。

場面を説明しよう。1-3で迎えた五回、巨人は炭谷銀仁朗のソロで2-3と迫り、なお2死一、二塁と走者をためた。ここで打席に立った4番岡本は初球を遊撃上方に打ち上げた。ドームの天井に当たって、軌道が変わった打球を誰も捕球できず、グラウンドに落下。記録は三塁への安打となった。これで二塁走者が返り、同点。すかさず陽岱鋼が勝ち越し3ラン……。

試合後の原監督の口調には、中日側への同情のニュアンスが含まれていた。「(向こうは)スリーアウトと思ったろうし、我々もそう思った」

原監督は「エラーも大きな得点(失点)に結びつくし……」ともいった。天井弾は不可抗力として、もし失策や振り逃げなど、取れるところでアウトを取れずに走者をためてしまうと、野球の神様はたちどころに"ペナルティー"を下し、大量失点につながる。原監督のコメントはそういう野球の厳しさをも示していた。

それにしても、いつから野球はスリーアウトとなったのか。

最初の野球規則とされるルールができたのは1845年9月23日に米国のニッカーボッカー・ベース・ボール・クラブが制定したものといわれる。

なぜか変わらぬ「アウトは3つ」

当初は投球はアンダースローに限定され、打者が高い球とか低い球とか、自分の打ちやすい球を要求できた時期もあった。また試合はどちらかが21点を取ったら成立するとか、飛球はノーバウンドでなく、ワンバウンドで捕球してもアウトとか、現在のルールとかなり違う点があった。

ところが、アウトの数は3つと、今と同じように決まっていた。同クラブが定めたルールの第15条にいわく「スリー・アウトで攻守交替」。つまりスリーアウト制は、野球の"事始め"から不変のまま来たわけだ。まるで宇宙を成り立たせる根本原理のように。

以上は野球殿堂博物館(東京都文京区)が米国の文献を翻訳し、まとめた資料によるものだ。

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