2019年8月23日(金)

トヨタ、EV巻き返しへ 電池で陣営作り

2019/6/7 22:20
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トヨタ自動車が商品化で出遅れている電気自動車(EV)で巻き返しに出る。7日、車載用電池で世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)、東芝ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)、豊田自動織機と連携すると発表した。EVの品ぞろえを拡充するために調達先を増やす。中核部品である電池で企業連合をつくり、EVで先行する独フォルクスワーゲン(VW)などを追う。

電気自動車普及に向けた計画を発表するトヨタ自動車の寺師茂樹副社長(7日、東京都江東区)

電気自動車普及に向けた計画を発表するトヨタ自動車の寺師茂樹副社長(7日、東京都江東区)

「トヨタに共感する世界の電池メーカーと協業し、調達の体制を整える」。同日都内で開いた記者会見で寺師茂樹副社長はこう強調した。

トヨタの車載用電池の調達先といえば、これまでは子会社であるプライムアースEVエナジー(PEVE)や、一緒に新会社を設立するパナソニックがメインだった。調達先に中国CATLなどを加え、ハイブリッド車(HV)やEVなどの電動車の販売を2025年に550万台(18年は約163万台)に増やす。

日本では4つの新型EVを投入するなどして、20年代前半には世界で10車種以上のEVをラインアップする考えだ。

各社との提携や協業の具体的な内容は明らかにしなかったが、それぞれに役割もありそうだ。特に大きいとみられるのは、世界最大のEV市場である中国のメーカーだ。CATLは独BMWやVW、韓国・現代自動車など世界の自動車メーカーに車載電池を供給する。BYDは中国車載電池でCATLに次ぐ大手で自ら新エネルギー車も生産している。

トヨタにとって、CATLとBYDの電池は中国を攻めるうえで大きな武器になる。中国2社にとっても電池の供給先を増やせるほか、将来は燃料電池車(FCV)を含む電動車全般の関連技術の活用も念頭に置く。なかでもCATLとは戦略的パートナーシップの覚書を交わし、調達だけでなく品質向上やリサイクルなど幅広く提携内容を詰める。

東芝などの日本勢もEVで出遅れるトヨタにとって援軍となる。東芝のリチウムイオン電池「SCiB」は寿命の長さなどが特徴で、日産自動車の軽自動車「デイズ」などに採用されている。日本で超小型EVに力を入れるトヨタの戦略と合致しそうだ。

GSユアサとは、ガソリンエンジン車に使う鉛蓄電池の調達にとどまっていたが、車載用リチウムイオン電池の調達を検討するようだ。GSユアサは既にホンダ三菱自動車にリチウムイオン電池を供給している。

トヨタ自動車が開発中の電気自動車(7日、東京都江東区)

トヨタ自動車が開発中の電気自動車(7日、東京都江東区)

トヨタは出遅れとの見方に反論するが、世界的にはVWが28年までに70車種のEVを発売し、年300万台以上の販売を目指す計画を掲げる。独ダイムラーは30年までに販売台数の半数をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)にする方針。日産自動車は22年度の世界販売の3割をEVかHVにする。トヨタは20年の中国を皮切りに自社の量産型EVを本格導入し、トヨタ車と高級車「レクサス」の両ブランドで展開する。

トヨタは豊田章男社長が単なる自動車メーカーから「モビリティーカンパニーへの変革」を掲げている。EV戦略を本格的に進める準備が整ったが、電動車でHVを中心とする全方位戦略を崩したわけではない。ただ都市部での次世代移動サービス「MaaS(マース)」やシェアリングでの利用を考えると、「環境規制などに対応できるEVが中心になる」(幹部)。トヨタは充電や保険などの周辺サービス、リースや中古車販売、電池のリサイクルなども含めたEVのビジネス構築にも乗り出す。日本で発売する超小型EVなどを使ったサービス開発では企業や自治体40団体程度とすでに連携する準備を進めている。

「EVは単に車を売るという単純なビジネスモデルだけではうまくいかない」(寺師副社長)。関連するサービスを創出してこそ収益事業になるとの思いが強い。車と関連サービスを組み合わせることで付加価値を高める全社で目指している方向性とも一致する。EVの本格立ち上げはトヨタ変革の試金石ともなりそうだ。

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