障害者雇用水増し防止へ法改正 働きやすい職場目指す

2019/6/7 19:50
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中央省庁などで雇用する障害者の人数が水増しされていた問題を受け、再発防止策を盛り込んだ改正障害者雇用促進法が7日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。公的機関で雇用率の不適切な計上が発覚した場合、厚生労働省が是正するよう勧告できる権限を新設した。ただ、障害者雇用に対する省庁側の意識改革や働きやすい職場づくりは道半ばだ。

障害者雇用を巡っては、2017年6月時点で国の28機関で計約3700人分を水増し計上していたことが発覚。既に死亡した人や退職した人らを障害者の雇用率を算定する対象にしていた。

改正法は公的機関と民間企業に、採用者の障害者手帳の写しなど確認書類を保存することを義務付けた。障害者であることを確認せずに雇用率の対象に計上するなどすれば、厚労省が是正を勧告する。一部を除き20年4月から施行する。

厚労省による監督機能は強化されたが、雇用率の定期的な監査の実施は難しいという。同省担当者は「各省庁が自発的に適正雇用に取り組んでもらえるよう、研修を通して意識改革を進めたい」と話す。

問題の発覚後も省庁側の理解が進んでいるとは言い難い。2~3月に初めて実施された障害者向けの国家公務員試験では、学科試験に合格したのに省庁から面接への参加を断られる人が相次いだ。省庁側の受け入れ体制が整っていなかったことが原因で、人事院の担当者は「準備が不足していた」と反省する。

精神障害者らでつくる任意団体「全国『精神病』者集団」(東京)によると、面接官による「コピーなど簡単な仕事しかさせられない」といった不適切な言動もあったという。同団体の桐原尚之運営委員は「障害者を雇いたくないという気持ちが深く根付いているのではないか」と不信感をあらわにする。

安心して働ける環境づくりも課題だ。厚労省によると、各行政機関が昨年10月以降に採用した障害者計2518人のうち、131人が今年5月までに退職した。

全日本ろうあ連盟(東京)の石野富志三郎理事長は、障害者への配慮不足が原因とみる。「例えば聴覚障害者を受け入れる場合、周囲の人が手話通訳や筆談の研修を受ける必要があるが、行政機関は民間企業に比べて対応が遅れている」という。

障害者雇用に詳しい横浜市立大の影山摩子弥教授(労働経済学)は「公的機関の意識を変えていくため、外部から障害者対応の専門家を登用することを進めていくべきだ」と指摘している。

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