2019年7月18日(木)

人生100年に備えた資産形成を、高齢化と金融包摂シンポ

経済
金融機関
2019/6/7 23:30
保存
共有
印刷
その他

日本経済新聞社は7日、日本政府と国際的な金融包摂の枠組みである「GPFI」との共催で「高齢化と金融包摂」をテーマに都内でシンポジウムを開いた。各国の金融当局トップや有識者が登壇し、加齢に伴う認知機能の衰えなど高齢化が社会に与える影響や課題を共有した。人生100年時代に向けて求められる金融サービスのあり方を議論した。

「人生100年時代と金融」について語るリンダ・グラットン氏(左)(7日、東京都千代田区)

「高齢者の貧困リスクが世界的に高まっている」。経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長は基調講演で警鐘を鳴らした。医療技術の発達により多くの国で平均寿命が延伸。今後、先進国だけでなく新興国でも急速に高齢化が進む見通しだが「長生きするほど備えが必要なのに金融商品への知識や貯蓄は不足しがちだ」と指摘した。

今回のシンポジウムは8~9日に福岡市で開くG20財務相・中央銀行総裁会議の関連イベント。グリア氏は「各国政府が高齢者向けの金融教育に力を入れる必要がある」と呼びかけ、G20での議論に期待を寄せた。

英ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授は高齢化が進む課題先進国としての日本の役割に注目。「日本は世界の議論をリードしている」と語った。仕事に意欲的な高齢者がいても企業が高い報酬を出すことに消極的だとし、給与制度を含めて「柔軟にオプションを提供する必要がある」と指摘した。

今回、G20で初めて議長国を務める日本からは麻生太郎財務相兼金融相が「高齢化は世界で広がる共通の課題。有益な発見を得て、福岡でのG20財務相・中央銀行総裁会議でも共有したい」と語った。金融庁の遠藤俊英長官は人生100年時代における資産づくりについて「現役期や退職前後、高齢期などそれぞれの年代で対応しないといけない」と強調。金融教育の強化や、顧客の立場で資産形成を助言する金融アドバイザーの育成などに積極的に取り組む考えを示した。

高齢者は身体が衰えると金融機関に出向いたり、取引したりすることが難しくなる恐れが出てくる。日銀の黒田東彦総裁は「高齢者が取り残されることなく安心して金融サービスの恩恵を受けられる『金融包摂』が社会的課題になっている」と指摘。その上で「高齢者に対する新しいサービスは金融機関にも大きなビジネスチャンスになる」とも語った。

今回のシンポジウムでテーマとなった金融包摂は年齢や性別、地域にかかわらず全ての人が金融サービスを使えるようにする考え方で、G20や各国の国際機関で構成するGPFIが取り組んでいる。特に高齢化は日本だけでなく新興国でも急速に進むなど国際社会の問題になりつつある。2050年には世界で60歳以上の人口が20億人を超える見通しで、その大半は新興国が占める。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。