2019年9月17日(火)

ドラギ総裁、不測の事態には追加策 不確実性を警戒

2019/6/6 23:23
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【ビリニュス=石川潤】欧州中央銀行(ECB)がわずか3カ月で2度目の利上げ延期に踏み切らざるを得なかったのは、世界経済を取り巻くリスクがますます高まっているためだ。ドラギ総裁は6日にリトアニアの首都、ビリニュスで開いた記者会見で「長引く不確実性が景況感に強い影響を与え続けている」と述べた。

6日、記者会見するECBのドラギ総裁(リトアニアの首都ビリニュス)=ロイター

ドラギ総裁は「最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している」と語り、2019年後半の景気回復というECBのシナリオが危うくなっていることを認めた。ドラギ氏がリスクとして特に強調したのが「保護主義の高まる脅威」だ。米中の貿易戦争は悪化の一途をたどっており、慎重な見通しを示さずにはいられなくなっている。

ドラギ氏は「雇用の拡大と賃金の上昇がユーロ圏経済の強さを支え、徐々に物価は上がっていく」というこれまで通りの考え方も繰り返した。ただ、物価上昇の勢いは弱まっており、消費者物価上昇率2%近くというECBの目標を達成するために今回の措置が必要になったと説明した。

ECBが同日公表した四半期に1度の経済・物価見通しでは、19年は比較的順調だった1~3月の動きを受けて小幅に上方修正した。ただ一方で、20年、21年を下方修正しており、経済・物価が力強さを欠く状況が長引くというECBの認識をにじませた。

ドラギ総裁は今回の理事会で、基本シナリオの確かさ、長引く不確実性、不測の事態への対応の3つが中心的なテーマになったと明かした。総裁は「理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置をとる準備ができている」とも強調した。

ドラギ氏は「現在の状況は(欧州債務危機があった)7年前とは比較にならない」と指摘。今回の決定をきっかけに悲観論が広がらないようにクギを刺したが、何が起こっても対応できるように準備を進めなければならないとの考えを示した。

実際には、ECBが打てる手は限られている。2018年末に終了したばかりの量的緩和政策の再開やマイナス金利政策の深掘りが選択肢とみられるが、いずれも副作用がつきまとう。次のタイミングで今回と同じ利上げ時期の先送りだけを決めれば、かえってECBの手詰まり感が市場から見透かされかねない難しさもある。

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