米フォード、英工場を閉鎖へ EU離脱の混乱で

2019/6/6 22:30
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【ロンドン=佐竹実】英国に進出する自動車関連メーカーの間で、事業縮小や撤退の動きが相次いでいる。米フォード・モーターは6日、英国のエンジン工場を閉鎖する方針だと発表した。不振が続く欧州事業のリストラの一環だが、欧州連合(EU)離脱で関税が復活することへの懸念も背景にある。

労働組合ユナイトユニオンは、ホンダ撤退の見直しを求める日本語のポスターを作成した(英南部スウィンドン)

労働組合ユナイトユニオンは、ホンダ撤退の見直しを求める日本語のポスターを作成した(英南部スウィンドン)

フォードが2020年の閉鎖に向けて組合と協議を始めたのは、英国内に2カ所あるエンジン工場のうち西部ウェールズのブリジェンド工場。約1500人を雇用し、ドイツの完成車工場などに輸出している。英最大の労働組合ユナイトユニオンは「サプライチェーンも含め数千人の生活に影響する。フォードに再考を求める」としている。

英国とEUとの間に関税が復活すればコスト増に直結する。フォードは、英議会が離脱協定をまとめられずに関税が突如発生する「合意なき離脱」となれば10億ドル(約1080億円)の減益要因になると試算していた。

フォードの欧州事業は苦戦が続く。1月には独仏の工場休止や、数千人とみられる人員削減などの大規模なリストラ策を発表していた。

今回のエンジン工場閉鎖もリストラの一環だが、EU離脱を巡る混乱も背景にある。メイ首相の辞任を受けた与党・保守党の党首選では、「合意なき離脱」も辞さないとする候補者がリードしており、産業界の警戒は強まっている。

ホンダが21年に英国での生産をやめることを受け、プレス部品大手のユニプレスも工場閉鎖を検討している。日産自動車は予定していた次期「エクストレイル」の生産計画を撤回した。独BMWも合意なき離脱の場合は「ミニ」の生産の一部をオランダに移す考えを示した。

英国の18年の自動車生産数は約150万台と、ドイツ、スペイン、フランスに次ぐ欧州4位の規模。ホンダ、日産、トヨタ自動車が半分近く、BMWも含めれば3分の2近くを外資が生産している。外資の撤退・事業縮小が相次げば雇用が失われるなど、英国経済の土台を揺るがしかねない。

英自動車工業会によると、今年4月の英国の自動車生産台数は約7万台と前年同月に比べ半分近くに落ち込んだ。同会のマイク・ホーズ会長は「合意なき離脱となれば、世界のテクノロジー競争にもおいていかれる」と指摘する。

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