エアビーの民泊物件、日本5万件に回復 新法施行1年
民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーは6日、仲介サイトに掲載する日本国内の物件数が5月末で5万件になったと発表した。2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行を受け、違法の「ヤミ民泊」を削除し、1年前に掲載物件が約2万2千件に減ったが、2倍の水準になった。今後は地方自治体や民泊関連企業と連携し、さらに掲載件数を増やす。
新法施行から15日で1年になるなか、エアビーのネイサン・ブレチャージク最高戦略責任者が都内で記者会見した。ブレチャージク氏は「新法で法的な枠組みが明確になったことで、(民泊の)コミュニティーは大きく強力になる」と話した。
新法施行後に届け出があった物件は5月15日時点で1万6千件超。大部分がエアビーのサイトに掲載されているようで「多くの選択肢を提供できるようになった」(ブレチャージク氏)。
新法施行前にエアビーのサイトに掲載されていた物件は違法な「ヤミ民泊」が大半で、同社は削除を進めてきた。1年前には、掲載件数がピーク(約6万2千件)より7~8割少ない2万件程度の時期もあったようだ。
日本でエアビーを利用した旅行客数は17年2月からの1年間で全国580万人と徐々に普及している。ただ、民泊新法の180日の年間営業日数制限などが普及の足かせになる可能性もある。民泊規制の厳しい京都市ではエアビーの旅行客数は66万6千人にとどまる。
普及のカギは地域との連携だ。地方自治体の大型イベントの時だけ民泊を提供できる制度「イベント民泊」によって、19年のラグビーワールドカップが開催される岩手県釜石市などと組み、観戦客に民泊を提供するほか、20年の東京五輪・パラリンピックでの民泊の活用を促す。6日には東京都新宿区とも民泊事業者の適正な運営を促すための提携を発表した。
現在117社の協力企業との連携も強化する。不動産仲介のハウスドゥとは、管理する空き物件を民泊として運用できるようにする。日本でのエアビー利用者の4分の1が中国人観光客であることから、今後は中国語のサポートを重点的に強化する。
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