都構想の法定協21日再開 3カ月ぶり、費用抑制など焦点

2019/6/6 18:30
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「大阪都構想」の制度設計を議論する法定協議会(法定協)の代表者会議が6日開かれ、法定協を21日に開催することを決めた。各党の対立で膠着状態となっていた制度案作りが、3カ月ぶりに再開する。都構想に反対していた公明党は賛成へと転じたものの、引き続きコスト抑制などを求めており、現行案をどう修正するかが焦点となる。

代表者会議は6日午後、大阪府庁で開かれ、各党の幹部らが出席した。終了後に取材に応じた法定協会長の今井豊府議(大阪維新の会幹事長)は「議論がかなり前に進むと受け止めた」と自信を見せた。公明府議団の肥後洋一朗幹事長は「住民サービスを低下させない仕組みなどをしっかり議論していきたい」と述べた。

出席者によると、21日に各会派が協議に臨むスタンスを表明した上で、大阪市を東京23区のように4つの特別区に再編するという現行の都構想案に対し、修正意見があれば提案することで一致。大阪府市の副首都推進局が住民投票までの大まかなスケジュールを示す方向で検討するという。

3月上旬までの法定協は、都構想の賛否を問う住民投票の実施時期などを巡り、維新と他会派が激しく対立していた。「民意を問う」と知事・市長のダブル選に踏み切った維新が圧勝し、公明は従来の方針を百八十度転換。都構想に賛成の立場で議論することで5月下旬に維新と合意した。

ただ、公明は合意の条件として(1)地下鉄・バスの敬老パスや塾代助成など住民サービスを低下させない(2)特別区設置コストを最小限にする(3)現行の区役所の窓口機能を維持する(4)全特別区に児童相談所を設置する――を要望している。

大阪市の2019年度予算には敬老パス59億円、塾代助成23億円、18歳未満の医療費助成89億円が計上されている。負担は軽くないが、維新もこうした住民サービスの必要性は認めている。区役所の窓口機能維持も「今の(都構想)案でクリアできる」(松井一郎代表)との立場。児童相談所はもともと市内4カ所目の設置を検討しており、公明の主張との隔たりは小さい。

ハードルが高いとみられるのが(2)のコスト抑制だ。公明は大阪市を廃止して特別区に移行すれば、区庁舎の整備やシステム改修、人件費増加により15年間で最大約1500億円の費用がかさむと主張。これに対し、松井代表は「サービス拡充のための投資だ」と反論していた。

経済効果を巡る意見の対立もある。府市は18年7月、都構想移行後の10年間で最大1.1兆円の歳出削減が見込めるとの試算を公表した。しかし公明は「仮定の置き方でいくらでも変わる極めて恣意的な数字だ」と批判。維新が思い描く費用対効果に疑問を呈していた。

維新は約1年後をめどに制度案(協定書)をまとめ、20年秋~冬に住民投票を実施する考えだ。ただ、コスト抑制などで維新と公明が再び対立すれば、スケジュールが大きく変わる可能性も出てくる。

一方、自民党は都構想や住民投票への賛否を巡り、大阪府連会長と市議団などが対立している。6日の代表者会議に出席した川嶋広稔市議団副幹事長は「都構想には根本的な問題がある」とし、引き続き反対する考えを示した。

共産党の山中智子市議団代表は「都構想や住民投票はやってはいけない。百害あって一利なしで、譲ってはいけない部分だ」と強調した。

法定協、維新が過半数占める

大都市地域特別区設置法は、人口200万人以上の大都市圏を廃止し、東京23区のような特別区に移行する際の制度設計を議論する場として、法定協議会(法定協)の設置を義務付けている。

「大阪都構想」の法定協は会長と委員計20人で構成。知事と市長のほか、府議、市議それぞれ9人が参加する。特別区の区割りや区役所の役割、区議会の定数などを定める「特別区設置協定書」を取りまとめるには、過半数の委員の賛成が必要だ。

各党の人数は両議会の議席に応じて決まる。4月の府議・市議選で議席を伸ばした維新は、法定協の勢力が10人から11人となり、過半数を占めた。

ただ住民投票を実施するには、協定書について府市両議会の承認が必要。維新は市議会で過半数に達しておらず、他党の協力が欠かせない。両議会で過半数の賛成が得られれば、60日以内に住民投票を実施する。

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