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田植えから酒造まで体験 農家と蔵元、福井・南越前

オタマジャクシやアメンボが泳ぐ福井県南越前町の水田で、酒米「山田錦」の青々とした苗の列が延びていく。「秋には胸より高くなります」。米農家、山田康二さん(36)の声が響く。水田を提供する山田さんと地元の老舗酒蔵が連携、米作りから仕込みまで一般の人たちに体験してもらう酒造りプロジェクトが今年も始まった。

真夏日となった5月下旬のこの日、大阪などから約10人が参加。手植えに初挑戦した大阪市の女性(40)は「自分で造った日本酒がどんな味になるか楽しみ」と汗を拭った。

山田錦は食用米より粒が大きく、日本酒造りに適する一方、背丈が高いため風雨で倒れやすいのが弱点だ。10月の収穫まで山田さんが丹精込め育て、精米後は1716年創業の「北善商店」10代目北村啓泰さん(61)にバトンタッチする。来年1月に仕込み作業、3月には完成予定だ。

地域おこし協力隊として京都から南越前町に移住し、古民家宿を運営する中谷翔さん(30)と共に北村さんは一般向けの杜氏(とうじ)体験を共催しており、「せっかくなら米作りからやってみよう」と中谷さんに提案した。もともと山田錦に関心があった山田さんが加わった。

「地方に当たり前にあるものの魅力を都会の人に知ってもらいたい」。2018年、中谷さんの主催で企画を実行、完成した純米酒はオリジナルラベルを付けて参加者に贈り、残りは北善商店などで販売した。「フルーティー」「全工程を体験でき、貴重な機会だった」と好評を博したという。

2回目の田植えも無事に終え、次に参加者らが集まるのは黄金色の稲穂を刈り取る秋だ。中谷さんは「この町の四季を感じ、自然や特産品のファンになった人が今後も足しげく通ってくれるのが理想」と期待を込める。〔共同〕

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