米長期金利が急低下、雇用指標の鈍化で
【ニューヨーク=後藤達也】5日の米債券市場で長期金利が一段と低下している。金融政策の先行きの影響を受けやすい2年物国債利回りは一時1.78%台と前日より0.08%程度と大きく低下した。5日朝に発表された雇用指標が市場予想を大幅に下回り、米景気への不安が強まった。米10年債利回りも一時2.08%まで低下。円相場も1ドル=107円80銭まで円高・ドル安が進んだ。

米雇用サービス会社ADPが発表した5月の全米雇用リポートは非農業部門の雇用者数が2万7千人増と市場予想(17万3千人増)を大幅に下回った。この統計は7日発表の米雇用統計の先行指標とされる。米経済は雇用を中心に堅調という見方が多かっただけに、貿易戦争に加え内需にも陰りが出てきたとの懸念から安全資産である米国債を買う動きが強まった。
米金利先物市場では米連邦準備理事会(FRB)が7月までに利下げする可能性を7割近く織り込んでいる。パウエルFRB議長は4日に「景気拡大を維持するため適切に行動する」と利下げも辞さない構えをみせていた。