世界成長率0・5ポイント下振れ IMF、貿易戦争悪化なら試算

2019/6/5 23:00
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【シカゴ=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は5日、米国と中国の貿易戦争による世界経済への最新の影響分析を公表した。両国の関税合戦が激化すれば、2020年の世界の成長率が0.5ポイント下押しされると警告した。中国も成長率の下振れ幅が1.0ポイントと大きい。8日開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、貿易戦争での景気失速リスクが最大の論点になる。

IMFの試算は、米国と中国が18年中に課した制裁関税による景気への影響と、19年5月に表明した追加制裁の下押し圧力を分けて提示した。米国は18年中に2500億ドル分の中国製品に追加関税を課し、中国も報復関税を発動している。18年の関税引き上げだけで20年の世界景気は0.2ポイント下振れすると分析した。

米中は貿易協議が決裂し、トランプ米大統領は制裁対象としていない3千億ドル分の中国製品にも、新たに25%の関税を課すと主張している。IMFは関税引き上げが中国製品全体に広がれば、中国の20年の成長率は1.0ポイント減速し、米国も0.2ポイント下押しされると分析した。20年の成長率は中国が6.1%、米国は1.9%とIMFはみてきたが、両国景気は大きく下振れしかねない。

2大エンジンといえる米中経済が減速すれば、世界全体も下押しされる。IMFは米中が18年中に課した関税の影響で、世界景気が0.2ポイント減速するとみていた。19年分に見込まれる関税引き上げの影響を合算すれば、下振れ幅は0.5ポイントに拡大すると試算した。20年の成長率は3.6%と予測してきたが、好不況の境目である3%ぎりぎりまで落ち込む不安がある。

日米欧と中国など新興国を含むG20は、8日から2日間の日程で財務相会議を開く。IMFは19年の成長率見通しを3.3%と予測するが、伸び率は08年の金融危機以降の回復局面で最も低い。トランプ米政権はメキシコ製品にも関税を課す新たな経済制裁を検討しており、貿易戦争のリスクは拡大している。G20会議の最大の争点は引き続き貿易問題となりそうだ。

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