「待ち」の営業 信頼生む 住友生命のトップ販売員
匠と巧

関西タイムライン
2019/6/10 7:01
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落ち着いた表情で相手の話を聞く国田さん=松浦弘昌撮影

落ち着いた表情で相手の話を聞く国田さん=松浦弘昌撮影

生命保険のトップセールスパーソンというと、どのような人を思い浮かべるだろうか。住友生命保険の国田真理子さん(32)は多くの人が持つイメージとは違うかもしれない。実は「話すのは得意ではない」。それでも高い販売実績を出し続けている国田さん。裏にあるのは徹底的な「待ち」と地道な客先への訪問だ。

「Million Dollar Round Table(MDRT)」――。直訳すれば「百万ドルの円卓会議」。生保や金融業界の殿堂とでもいうべき世界的な組織で、高い販売実績を収めた人のみが入れる。国田さんは入社5年目で早くも殿堂入りした。3万人以上の営業職員を抱える住生でもMDRT入りは33人。社内で毎年100人程度が選ばれる成績優秀者にも2年連続で選ばれた。

「あの沈黙は何だったのか」。国田さんの上司でもある東大阪支社・れいめい緑橋支部の支部長は、一緒に営業した時のことを振り返る。国田さんが保険商品を説明しても沈黙が続くのみ。契約は先のことと思っても、隣の国田さんは座ったまま。彼女が顧客をニコニコと見つめていると、先方から次々と質問が出て契約が決まったのだ。

国田さんの営業姿勢には担当地区に多い中小企業の経営者からの評価も高い。顧客のある経営者は「保険商品は売り込みが度を過ぎればマイナスだが、彼女はその要素がほぼゼロ」と話す。銀行の事務職員だった国田さん。内勤や行内の人間関係に悩み、生保の営業職員の母親を追うように住生に入った。

ただ口べたは元からで、今も口達者な方ではない。「これで契約を取れるという『王手』がない」と不安も抱える。だからこそ企業訪問を徹底する。1日で10~30社を訪ねる。多く回るには無駄な時間と体力の消耗を抑えなければならない。電動アシスト自転車を2台購入し、別々の駅に置く。広い営業範囲をカバーするためで車種を選ぶ時も「航続距離が最長のものを選んだ」と徹底する。

社内で受けた指示や助言に素直に従うことも売れる秘訣だ。支部長が朝礼で販売に向けたアドバイスをすれば「国田さんは全て実行する」。新商品のキャンペーンを展開した時のこと。国田さんはしばらくドタバタしていた。通常は手紙やメールで済ませるが「全部の営業先にお知らせに行っていた」。地道な積み重ねが結果につながっている。

別の男性顧客も「すごく頑張り屋さんだから応援したくなる」と話す。「顧客に徹底的に合わせる姿勢」を貫き、保険の相談を受ければ適した商品を説明するが、自分からは提案しない。「待ち」の姿勢でも日ごろからコミュニケーションを取り続け、何でも相談してもらえる関係を築いた。

「お客様から信頼され『やめないでほしい』と言われるのがうれしい」と国田さん。営業の仕事とは商品の売り込みよりも、相手の信頼を勝ち得ること。国田さんのスタイルから学ぶことは多そうだ。

(大阪経済部 金岡弘記)

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