2019年7月23日(火)

今日も走ろう(鏑木毅)

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癒やしの温泉、豊かな味わい 効果抜群ぬる湯

2019/6/6 6:30
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海外のレースや合宿から帰国すると必ず、泉質の良い温泉につかる。酷使した肉体をいたわる意味もあるけれど、それ以上に精神的な安らぎを得たいからでもある。

私は10年以上にわたりトレイルランニングでも最難関カテゴリーと呼ばれる100マイルを主戦場としている。時には月間1000キロメートルほど走り込み、50歳という年齢のせいだろうか筋疲労にとどまらず、発疹、全身倦怠(けんたい)感など体調も綱渡りの状態だ。そのため疲労を素早く取り除けるかどうかが現役続行のカギ、と考えている。というわけで私の場合、おいしいものを食べのんびり温泉場に滞在するというより、疲労を抜くため共同湯などを利用しさっと入ることが多い。

野趣にとむ日本最高所の野天風呂で

野趣にとむ日本最高所の野天風呂で

温泉選びでは源泉かけ流しかどうかにこだわっている。これは地中からわき出した温泉をそのまま浴槽に入れ、できる限り加水や加温をしないものだ。温泉も生き物であり時間の経過とともにその泉質は劣化するらしい。長年の経験からも、最も「生きがいい」お湯で格段に疲労が抜けることに気づいた。

特に好きなのが「ぬる湯」と呼ばれる体温に近い湯だ。ぬるいお湯だと副交感神経の働きが優位となり、リラックス効果が望めて心が安らぐ。とりわけ37度前後の湯温は長時間つかることができるため、温泉の成分を体内により多く取り入れることができるらしい。時には1~2時間、居眠りしながら入ると深部の疲労も癒やされる。

一方、温泉の別な楽しみ方として「野湯」がある。これは大自然の中にそのままわく温泉。基本的に更衣室も体を洗う設備もない野趣あふれるものだ。この野湯へのルートは人里から離れ山道をたどるものも多く、トレイルランニングとセットで楽しんでいる。場所によっては高度な登山技術が必要な場合もあるので事前に十分な確認を要する。

長年の現役生活で長い付き合いとなった温泉もある。群馬県の万座温泉は真っ白な硫黄泉も絶品だが、標高が約1800メートルあって高地トレーニングの良きフィールドでもあり、癒やしを感じながら鍛える場として訪れてきた。長野県の白馬の温泉は国際レース前に最終調整をし好成績を上げた験の良い場所だ。トレーニング後にこの湯につかると「いよいよ来るべき決戦がきた」と気持ちのスイッチが入る。

さらに国際レース後には疲れきった体を休めるために群馬県の四万温泉を愛用している。四万の病を治すともいわれ、泉質だけでなく古い町並みの温泉街の風情が素晴らしく、日本情緒を深く感じて心安らぎ再び次の目標に向かう気持ちになる。

世界中に温泉は存在するけれど日本ほど多彩な種類の温泉を有する国はほかにない。何よりも文化として生活にしっかりと根付いている。これまでどれほど温泉に助けてもらったか計り知れず、ぜひともこの素晴らしい財産を満喫したいものだと思う。

(プロトレイルランナー)

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