2019年8月24日(土)

「米景気、年後半に急減速も」米証券BBHのシン氏
米経済この先

2019/6/5 5:11
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BBHのウィン・シン氏

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貿易戦争の激化で金融市場が揺れている。今後の貿易交渉が経済や市場にどのような影響を与えるのか。米ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替戦略グローバル責任者のウィン・シン氏に聞いた。

――トランプ米大統領がメキシコに関税をかけると表明した。米中を含めた貿易戦争の行方をどうみますか。

米国は新たな貿易協定であるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の批准手続きを進めようとするなかで、先週突然メキシコに関税を課すことを表明した。米国と貿易交渉で妥結することが非常に難しいということを多くの国が痛感したはずだ。米中の貿易交渉もすぐに合意するとは考えていない。

最も理想的なシナリオを考えるなら、6月の主要20カ国首脳会議(G20大阪サミット)でトランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席が直接話し合い、その後7~9月に交渉団が議論を進めれば、10~12月にはなにがしかの合意に達することができるかもしれない。だが、その可能性が十分に高くはなく、合意なきまま2020年に入るかもしれない。(米長期金利が短期金利を下回る)逆イールドが示すように、米中摩擦が長引けば長引くほど、世界経済への悪影響は大きくなる。それは米中だけの問題ではなく日本や欧州、他の国々の経済も下押しする。

――米景気が後退するとの懸念も浮上しています。

1カ月前にそのことを聞かれれば、「その可能性は極めて低い」と答えていただろう。いまも基本シナリオでは年内の景気後退は見込んでいない。しかしそのリスクは高まっている。貿易戦争は非常に大きなリスクで、緊張が高まれば年後半は急激な景気減速に見舞われるだろう。その可能性は25%ほどあると思う。

――米連邦準備理事会(FRB)は年に2回程度の利下げをするとの見方があります。

私はもう少し楽観的な見方をしている。FRB高官は関税が深刻な問題だということを認識しているが、経済の先行きをみるうえでは多くの潜在的な問題をみている。6月は様子見をするだろう。ただ、クラリダ副議長が話すように彼らは状況が変われば動くと思う。

――米利下げ観測が強まるにもかかわらずドルは比較的高い水準にあります。

ニュージーランドやオーストラリアがすでに利下げしたほか、欧州中央銀行(ECB)も追加緩和する可能性がありそうだ。FRBが現状維持をしていても米ドルは相対的に強い状況を保ちやすい構図だ。安全資産としての円やスイスフランと並んで、ドルは5月に特に上昇した通貨だ。私は引き続きドルに強気だ。だが、米景気が後退に陥るようなら状況は一変する。米長期金利は大幅に低下するだろうし、財政赤字も急増する。ドルには非常に強い逆風になる。

(聞き手はニューヨーク=後藤達也)

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