FRB議長「適切に行動」 貿易戦争で利下げ視野

2019/6/4 22:55 (2019/6/5 2:01更新)
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【シカゴ=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日の講演で、泥沼化する貿易戦争を懸念して「米経済の動向を注視し、景気拡大を持続させるために我々は適切な行動をとる」と述べた。利下げを強く示唆するのは避けたが、景気下振れリスクが高まれば、金融緩和への転換も辞さない姿勢をにじませたものだ。

4日、パウエル議長は貿易戦争の激化に懸念を示した(シカゴ)=AP

4日、パウエル議長は貿易戦争の激化に懸念を示した(シカゴ)=AP

パウエル氏は4日、シカゴで開いた金融政策を巡る討論会で講演した。講演内容は低金利時代に対応した新しい金融政策の枠組みを論じるものだが、発言の冒頭で「貿易交渉などの最近の状況についてまず言及したい」と切り出した。

同議長は「我々は貿易問題がどのようにいつ決着するのか分からない」と述べ、トランプ米政権が中国やメキシコなどに仕掛ける関税政策の先行きに懸念を示した。そのうえで「これらの出来事が米経済の見通しにどう影響するかを注視し、米経済の拡大や雇用の力強さ、2%のインフレ率を保つために適切な行動を取るだろう」と主張した。

FRBは2018年12月を最後に利上げを休止している。パウエル議長は5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「金融政策は利上げ、利下げのどちらかに動かす必然性はみられない」と述べ、当面は政策判断を様子見する考えを示していた。4日の講演では「適切な行動をとる」と利下げに直接言及するのを避けたものの、貿易戦争で景気不安が強まれば、金融緩和に転じる考えをにじませた。

講演の大半は、中長期的な金融政策の枠組みの見直しに焦点を当てた。米景気は10年近い拡大局面が続くが、政策金利は現時点でも2.25~2.50%にとどまる。パウエル氏は「次の景気後退期には、すぐに(利下げができなくなる)ゼロ金利制約に直面する」として、金融緩和の手段を拡大する必要性を訴えた。

政策見直しの内容については「議論が極めて初期の段階」と具体的に言及するのを避けた。ただ、「埋め合わせ(Makeup)戦略」という表現を用いて、金融緩和をこれまで以上に長引かせて消費者や企業の期待を高める手法に言及した。FRB内では2%のインフレ目標を見直して、景気後退後には2%を上回る物価上昇率を一時的に容認する「平均物価目標」案がある。

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