ドローンで橋の法定点検 千葉県君津市7月から実験

2019/6/4 19:32
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千葉県君津市はインフラの長寿命化に向けてドローン(小型無人機)の活用に乗り出す。7月から市内の橋の法定点検に4Kカメラ搭載のドローンを使う実証実験を始める。ドローンだけで点検する取り組みは全国初とみられる。自治体が管理する橋や道路などは老朽化が急速に進んでおり、点検や改修費用の負担が各地で問題となっている。市は費用対効果などを検証し、2020年度の本格運用を目指す。

橋の点検のため、ドローンのテスト飛行をする市職員(君津市)

君津市は5月28日、システム開発のアイネット、ドローンスクールを運営するDアカデミー(同市)と実証実験に関する覚書を結んだ。両社は17年6月に同市内に約14万平方メートルのドローン用飛行場を開き、機体の貸し出しや撮影した映像の編集・保管、操縦・撮影指導も行っている。

7月から始まる実証実験では、市が管理する227の橋のうち約20カ所を対象とする。ドローンに搭載した4Kカメラであらゆる方向から橋を撮影し、ひび割れや鉄の腐食がないかを確認する。4Kカメラは人の目以上に細かな傷を検知することができるという。撮影手法の検討や映像の解析を通じて、本格運用に向けてドローンによる点検が可能な橋を選ぶ。

ドローンに搭載した4Kカメラが撮影した詳細な点検データを蓄積することで、次回以降の点検に活用できるメリットもある。ただ、空撮した4K映像やドローンの飛行データは容量が大きい。そのため、実証実験ではデータを保管する際の課題についても検証を進める方針だ。

従来、橋の点検では、自治体が専門業者などに委託し、技術者が橋を触ったり、たたいたりしてひび割れなどを確認してきた。13年には道路法が改正され、橋やトンネルなどについて5年ごとの「近接目視」点検をすべての道路管理者に義務付けている。

一方で国土交通省は今年2月に定期点検要領を見直し、「近接目視」のほかに「近接目視と同等の診断を行うことができる情報が得られると判断した方法」での点検を認めている。君津市ではドローンによる点検を「近接目視と同等の診断を行うことができる」と判断している。

君津市は14年度から18年度までの5年間で1億3千万円を点検費用に充ててきた。一方で同市内には現在、早急に改修を要する橋が38カ所あり、年間5億円程度の修繕費を必要としているが、財政難で十分に予算を確保できないのが現状だ。今回の実証実験では、運用しやすく、購入費用も20~30万円と比較的安価な小型ドローンを導入するほか、操縦は専門資格を有する市職員が担う。点検費用の大幅な削減につながるとみられる。

市道路整備課によると、実際にドローンによる点検の緒条件を満たす橋は100カ所程度になる見込みだ。この場合、専門業者に委託する法定点検と比べて点検費用は5年間で4000万~5000万円程度の削減が期待できるという。縮減した費用を修繕費に充てることで、橋の修繕の迅速化につなげ、市内の恒久的なインフラ維持に努める。(飯塚遼)

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