天安門30年、香港・台湾で追悼集会 締め付けに反発も

2019/6/4 18:05 (2019/6/4 23:23更新)
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【香港=木原雄士、台北=伊原健作】中国で軍が学生らの民主化運動を鎮圧した1989年の天安門事件から4日で30年がたった。香港や台湾の民主派団体は犠牲者を追悼する集会を開いた。長年、中国民主化運動の拠点となってきた香港では、当局が事件にかかわった元学生リーダーの入境を拒否するなど政治的な締め付けが強まっている。中国寄りの香港政府に対する反発から、集会参加者は主催者発表で18万人と昨年より大きく増えた。

追悼集会でろうそくをともす人たち(4日、香港)=三村幸作撮影

追悼集会でろうそくをともす人たち(4日、香港)=三村幸作撮影

香港島のビクトリア公園で開いた集会では参加者がろうそくに火をともして犠牲者を悼み、中国政府に真相究明を求めた。5歳の息子と初めて参加した黄さん(40)は「子どもにも何が起きたか知ってほしい」と話した。盧さん(74)は「事件当時、香港で抗議活動に参加した。香港で自由が享受できることに感謝している」と述べた。

参加者は14年の18万人をピークに減少傾向が続いていたが、30年の節目を意識して参加する人も目立った。中国寄りを強める香港政府への反発も背景にある。

香港大学で天安門事件に絡むメッセージを塗り直す学生たち(4日、香港)

香港大学で天安門事件に絡むメッセージを塗り直す学生たち(4日、香港)

集会に先だち、香港大学では学生が事件の慰霊碑を磨く恒例行事が行われた。構内にある「民主主義の火は永遠に輝く」など事件に関するメッセージも塗り直した。参加した学生は「天安門の学生の精神を引き継ぎたい」と話した。

ここ数年、香港の民主派を取り巻く環境は厳しくなっている。市民団体は5年前に事件の資料を集めた記念館を開設したが、入居するビルから立ち退きを求められて閉館した。この4月に3年ぶりの開館にこぎ着けたが、親中国派とみられる人たちの抗議やいやがらせが続いている。

事件を取材した香港の記者らが出版した回顧録は、一般の書店では取り扱ってもらえない。筆者の一人の程翔氏は「習近平(シー・ジンピン)国家主席のもとで中国の民主化は後退している。天安門事件や文化大革命のような悲劇が再び起こりうる」と懸念する。

台湾では4日、台北市の自由広場で追悼集会が開かれた。「中華圏にあって民主体制を維持する台湾からメッセージを発信する重要性が増している」(民主派団体の曾建元氏)として、例年より集会の規模を拡大した。台湾の陳建仁副総統も出席した。

蔡英文総統は同日、自身のフェイスブックで事件について「中国政府は過去の過ちを反省せず、真相をねじ曲げようとしている」と指摘した。そのうえで「自由は空気のようなもので、窒息したときに初めてその存在に気づく」と訴えた。

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