2019年6月19日(水)

認知症の数値目標、取りやめ検討 参考値に格下げ、政府

社会
2019/6/4 1:30
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政府は認知症対策の新しい大綱に盛り込むことを提案していた予防に関する数値目標を取りやめる方針を固めた。5月に公表した大綱の素案では「70代の認知症の人の割合を10年間で1割減らす」など、初めて予防の数値目標を提示したが、参考値に格下げする。予防法は確立されておらず、当事者や家族が「予防できるという誤解を生む」などと反発していた。

与党との調整のうえ、月内に開催予定の関係閣僚会議で数値目標を参考値に格下げした形で提案し、新しい大綱を決定する。

政府は5月16日、2015年に策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の後継となる大綱の素案を公表。「2029年までに70代での認知症の発症を1歳遅らせる」とする数値目標を盛り込んだ。70代における認知症の人の割合に置き換えると、現状から1割低下させることになる。

認知症の予防法が確立していないなか、政府が予防の数値目標を掲げることは世界的にも異例だった。認知症の人が増え続けると、医療・介護費など社会的コストが急増するという試算が背景にあり、コスト削減の狙いがあった。

ところが初めての認知症予防の数値目標については批判や懸念の声が多かった。

政府は社会的交流を増やしたり、運動不足を改善したりする予防法を掲げていた。こうした対策は、実施している人といない人を比較して効果を確かめる研究が十分にされていない。

認知症になった本人らがつくる公益社団法人「認知症の人と家族の会」(京都市)の鈴木森夫代表理事は数値目標の公表について「認知症は予防できるという誤解を生みかねない。予防が強調されると、発症した人が責任を感じてしまうのではないか」と懸念を示していた。

素案を提示した内閣官房の幹部は「自民党、公明党からも、認知症の人の反発を懸念し、数値目標に拒否感を示す声が上がっていた」と説明している。

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