燃費規制に高いハードル、国内勢にEVシフト促す

2019/6/4 1:31
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経済産業省と国土交通省が新たな燃費規制で高いハードルを設けるのは、欧州や中国が電気自動車(EV)シフトの政策を急ぐなか、日本も後れをとれないという危機感が強いためだ。自動車メーカー各社はEVの販売計画の上乗せや、さらなる高性能化に向けた開発を迫られる。

3日の審議会で経産省の松山泰浩省エネルギー・新エネルギー部長は「国際的にみても野心的な目標だが、環境対策をリードしていく上で重要だ」と述べた。これまでの議論でメーカーから「厳しすぎる」との声も上がっていた。経産省も目標が適正かは途中で検証するとしたものの、高い基準からスタートすることで押し切った。

これまでの規制で2割以上の燃費改善を進めてきたメーカー各社にとって、30年度までにさらに3割を改善するハードルは高い。燃費改善に大きく貢献してきたのはハイブリッド車(HV)で、すでに国内全体のHV比率は3割を超えている。

さらに改善を上乗せするには、全体の1%強にとどまるEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の普及が必要だ。

海外でも自動車規制は厳しさを増している。欧州連合(EU)は30年までにCO2排出量を21年目標から37.5%削減する規制を導入する見込みだ。世界最大のEV市場になった中国も、同国で年3万台以上を生産・輸入するメーカーに一定割合をEVやPHVなどにすることを義務づけた。

EVの世界販売は現時点では米テスラがトップを走り、中国の比亜迪(BYD)も上位につける。世界の規制強化に合わせて新規参入組も含めた開発が加速するなかで、競争力をさらに高めないと生き残れない。

HVでの環境対応が中心だった国内メーカーも、EVを強化する姿勢を打ち出し始めた。トヨタ自動車はEVの基幹技術を共同開発する新会社をマツダやデンソーと設立し、SUBARU(スバル)やスズキ日野自動車など計9社と連携を進める。30年にはEVと燃料電池車(FCV)で全販売台数の1割程度にあたる100万台以上を販売する目標を掲げる。

ホンダも20年には欧州と日本で初の量産型EVを発売し、30年には世界販売の15%をEVとFCVにする計画だ。国内勢の中ではEV販売で先行してきた日産自動車は、22年度までに世界販売の30%を電動車とする方針を掲げる。

ただ各社の取り組みが新たな規制への対応で十分かは不透明だ。今回の規制は世界でもっとも厳しい欧州と同等か、欧州を上回るとの見方もある。ある自動車関連メーカー幹部は「基準をクリアするには、各社はEVやPHVの販売を今の計画より上積みしないといけないだろう」と話す。

今回はEVやPHVも燃費規制の対象に新たに加える。1回の充電で走行可能な距離が短い車種は「電費」が悪いとみなし、燃費の改善の計算で不利にする。これは欧州の規制にもない厳しいルールで、販売台数だけでなく性能もより問われることになる。

経産省や国交省は規制強化の一方、研究開発の支援にも力点を置く。EVに欠かせない蓄電池の共同開発を後押しし、燃費向上につながる部品の軽量化では素材メーカーも含めた連携を支援する。新たな燃費規制の導入を世界のEV市場で巻き返すきっかけにできるかが問われる。

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