金沢信金がノルマ廃止 顧客目線徹底へ
金沢信用金庫(金沢市)は融資営業や金融商品の販売などで店舗や職員に割り振っていた目標(ノルマ)を廃止した。短期的な成果追求に基づく行動を減らし、顧客目線の徹底を促すことで中長期の取引拡大につなげる。メガバンクや一部地銀で始まったノルマ廃止が信金にも広がる。
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人事評価制度を改定し、貸出金や預かり資産などに関する目標を全廃した。目標の達成度に応じてボーナスを加算していた給与体系も見直した。短期成果を求めて資金需要が見込める大口取引先に営業が偏るようなケースを減らし、創業から間もない取引先のケアなど顧客本位の行動を促す。
同金庫は石川県内で32店舗を展開し、職員数は約420人。地域金融機関への就職希望者が伸び悩んでいる近年の傾向を踏まえ、今年度から大卒総合職の初任給を1割引き上げるとともに職員のベースアップも実施した。今夏には女性事務職の制服を廃止し働きやすさを優先する。
3日発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が9億5500万円と前の期比50%減った。前の期に計上した貸倒引当金の戻入益がなくなった影響が大きい。20年3月期は人件費などの増加を反映し、前期比5%減益となる9億1千万円を見込む。