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デザイン統一 普及に一役(古今東西万博考)

1970年・大阪 ピクトグラム

道路標識やトイレの案内表示。今では当たり前となった案内用図記号(ピクトグラム)は日本では1964年の東京五輪に初めて登場した。ただ一般に普及するきっかけとなったのは、70年に開催した大阪国際博覧会(万博)とされる。

東京五輪では言葉の壁がある外国人に目的の場所を案内しやすいよう、会場やその周辺に食堂やトイレなどを示すピクトグラム39種類を導入した。だが複数のデザイナーが手掛けたため、デザインがばらばらだった。

大阪万博ではデザイナーの福田繁雄氏が統一したデザインのピクトグラムを考案。当時めずらしかった「モノレール」や、会場の混雑を予想した「迷子」といった新しいピクトグラムが誕生した。その後、福田氏がデザインしたピクトグラムは東京都心を走る営団地下鉄(現東京メトロ)でも使用され、日本でピクトグラムが広く使われるようになった。

大阪府立大学の橋爪紳也教授は「案内表示とセットで使われた大阪万博のピクトグラムは汎用性が高い。全国から多くの来場者が訪れたことで広く知られるきっかけとなった」と指摘する。現在は日本工業規格(JIS)などがデザインを定め、駅や学校、観光地など様々な場所で使われている。

2025年の大阪・関西万博ではピクトグラムはどのような進化を遂げるのだろうか。開催までの6年の間に新しい技術や生活習慣が生まれる可能性がある。橋爪教授は「新しいサービスを表現するために種類が増えるだけでなく、動く表示など新技術と融合したピクトグラムが登場するかもしれない」と期待を込める。

(下野裕太)

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