ジェル豊胸で安全強調 代理店、対象外でも「韓国許可」 「顔限定」触れず

2019/6/3 18:30
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豊胸術に使用後の健康被害の訴えが出ているチェコ製ジェル充填剤の日本正規輸入代理店が、ウェブサイトで美容医療の盛んな韓国での許可を受けたと安全性を強調しながら、実際は豊胸向け許可は受けていないことが3日までに分かった。韓国食品医薬品安全庁が明らかにした。ジェルは同庁の許可は得ていたが顔への1~5ミリリットル使用に限定、豊胸は対象外だった。

 チェコ製ジェル充填剤の「アクアフィリング」(4月、ソウル)=共同

代理店のサイトは顔限定とは触れず「韓国で許可」と表示、ハングルで書かれた輸入許可証を掲載していた。専門家は「消費者の誤認を招く」と批判。誤った認識が広まり、健康被害が拡大した可能性がある。

ジェルは日本で未承認の「アクアフィリング」。代理店シーアンドジェイカンパニー(C&J、福岡市)は許可が顔限定と知りながら書いていなかったことを認め「取引している医師に勉強会を実施しており、医師が充填剤の認可の範囲を説明すると思っていた。医師から健康被害など問題の報告はない」と述べた。

厚生労働省によると、未承認の医薬品や医療機器の広告は医薬品医療機器法に違反する。C&Jは「サイトは医師向けの情報で、広告との意識はなかった」と答えた。

同社は取材後、このサイトを閉鎖。製造元の名称変更にともないアクアフィリングを「ロスデライン」として扱う新サイトを立ち上げた。

アクアフィリングは韓国で広がった後、日本の医師が輸入代行業者などを通じて入手し使ってきた。日本では保険診療でない自由診療に未承認の素材を医師が輸入し使うことが認められている。

健康被害は激しい痛みを伴う炎症などで、充填剤の除去が困難なケースもある。事態を重視した日本美容外科学会(JSAPS)の大慈弥裕之理事長(福岡大副学長)らは4月、アクアフィリングなど体に吸収されない充填剤の使用自粛を求め、形成外科の学会など4団体合同の声明を発表。「長期的な安全性が不明確なものが使われる可能性がある」と指摘した。

韓国当局は、充填剤により副作用が発生しているとして許可されていない部位への使用を控えるよう要請しているが、同国でも顔以外に「適応外」として使われている。

共同通信は、昨年からの国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の企画「医療機器ファイル」に参加。今回の取材はICIJ参加の韓国独立系メディア「ニュース打破」の協力も得た。〔共同〕

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