大学3年生、就活で今何すれば? 先輩に聞いてみた
第104回 21年卒就活生へ

大学4年生が主体の2020年卒組就職活動は、6月1日に経団連ルールの下で選考解禁となりました。現3年生である2021年卒の就活はまだ先、と思いきや、各大学の3年生向け就職ガイダンスは5月から既に始まっています。21年卒組の皆さんは今、何をすればよいのでしょうか。「先輩」たちに聞いてみました。
メールアカウントを使い分けて情報を整理
今回、私が取材した学生全員が口をそろえて話してくれたのが、「基本のキ」である就職ナビサイトへの一斉登録です。「うちの大学ではリクナビ、マイナビなど主要なナビサイト5社全部にガイダンスで登録させられました」と話すのは、関西の私立大男子。就活の一歩目として、同じような声が多く聞かれました。
ナビサイトに登録すると、インターンシップ参加企業の情報などが得られます。その半面、ナビサイトからのダイレクトメールが山のように送られてきて大切な情報が埋もれてしまいます。学生たちの対策を紹介します。
「本命企業用のナビサイトとそれ以外のナビサイトでメールアカウントを分けました。さらに、本命企業用のナビサイトの中でブックマークする企業は少数に絞ったんです。そうすれば、メールソフトがダイレクトメールで埋まることはありません」(関西の私立大男子)
「ナビサイトごとにメールアカウントを用意しました。本命企業用のナビサイト(とそのメール)は細かくチェックしましたが、それ以外は数日から1週間に1回、チェックする程度。あるサイトについて1カ月放置したら、ダイレクトメールが100通以上たまっていて、思わず笑ってしまいました」(関東の私立大女子)
細かいテクニックよりなぜその企業・業界にたどり着いたのかのプロセスを見よう
就活ガイダンスに前年度の就活生(内定学生)や卒業生が登壇する大学もあります。「役に立ったのは、なぜその業界・企業を選んだのかという軌跡。特に最初は志望業界でなかった業界の無名企業に就職した内定者の話が印象に残っています。優良企業の見方などがわかって私もそれを参考にしながら就活を進めました」(関東の私立大女子)など、肯定的な意見が目立ちました。
内定学生への質問で最も多いのは、面接の受け答えやエントリーシートの書き方などの細かいテクニック的な部分です。意味がないとはいいませんが、就活生個人個人で異なるはずです。
「内定学生のエントリーシートはあくまでも過去の例の一つ。私が選考に参加した企業の中には、前年度と同じ設問の企業もあれば、違う企業もあります。参考情報として知るのはいいかもしれないけど、絶対視するのは危険です」(関東の国立大女子)
就活は大学受験と異なり、絶対的な答えがあるわけではありません。何が正しいかではなく、就活生自身にとって何が最適かを自分の頭で考える必要があります。
中国地方のある国立大では、就活に関する見解が異なる複数の講師を呼び、ガイダンスで話をしてもらっているそうです。あえて違う話を学生に聞かせているのは、何が正しいかを自分で考えてほしいというメッセージだそうです。参加した学生は「就活前は、なんて無責任なと思ったが、就活を終えた今は、自分なりに考えるきっかけになってよかった」と話しています。
就活の答えは一つではありません。本当の答えは就活生自身の中にあります。大学3年生からすれば、就職ガイダンスが3年生の夏前に始まるのは早すぎると思うかもしれません。それでも、自身の将来を考えるきっかけとして話を聞いてみてはいかがでしょうか。
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1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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