2019年7月17日(水)

米中、安保でも火花 台湾・南シナ海問題で応酬

米中衝突
中国・台湾
北米
2019/6/1 19:30
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【ワシントン=永沢毅、シンガポール=羽田野主】米中両国が1日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で火花を散らした。シャナハン米国防長官代行がインド太平洋地域で拡張主義的な動きを続ける中国をけん制すると、中国人民解放軍幹部は米国による台湾への接近を批判した。貿易戦争が再び激化するなか、将来の覇権を争う両国は安保でもさや当てを強めている。

昼食会に参加した中国の魏国防相(右)とシャナハン米国防長官代行=ロイター

昼食会に参加した中国の魏国防相(右)とシャナハン米国防長官代行=ロイター

「過去の人たちはそうではなかったが、私が中国の行動を見過ごすことはない」。シャナハン氏は1日の演説で、南シナ海の軍事拠点化や他国を借金漬けにして権益を得る外交手法などを列挙して中国を批判した。「台湾の人たちが自らの未来を決めることを支援する」とも述べ、中国が「核心的利益」と位置付ける台湾問題にも言及した。

演説の多くは2018年10月のペンス副大統領による対中批判演説に沿った内容で、新味があるわけではない。ただシャナハン氏が地域への「恒久的な関与」を約束した通り、米国は対中融和路線の見直しを軍事面でも実行に移しつつある。

19年に入り、米海軍は台湾海峡への艦船派遣をこれまでの年数回から月1回という異例のペースに増やした。南シナ海での「航行の自由」作戦では英仏両軍と連携するなど多国間での取り組みも始めた。いずれも18年末に成立したアジア諸国と安保・経済両面での包括的な協力推進をうたった「アジア再保証推進法」に沿った動きだ。

中国はシャナハン氏の演説に即座に反応した。中央軍事委員会連合参謀部の邵元明副参謀長は1日、シンガポールで記者団を集め、「台湾を中国から分裂させようとするなら、中国の軍隊は一切の代償を惜しまず、祖国の統一を守り抜く」と軍事的な選択肢も排除しない方針を明言した。南シナ海での航行の自由作戦も「地域の平和と安定を妨げる」と批判した。

中国の魏鳳和国防相は2日の会議で演説する予定で、シャナハン氏の発言への対応が注目を集めそうだ。

米中両国は貿易戦争が激化するなかでも、安保面での決定的な対立を避けることでは足並みをそろえてきた。シャナハン氏も貿易面での対立が「軍事分野に飛び火するとは考えていない」と述べ、対北朝鮮制裁の抜け穴となる「瀬取り」防止や海賊対策で中国との協力は可能だと訴えた。

それでも偶発的な衝突への懸念は消えない。18年秋には南シナ海で米中の艦船が衝突寸前の距離に接近する事態が起きた。双方は軍同士の交流を通じて信頼醸成を進める方針では一致しているが、安保分野のいずれの懸案も貿易問題と同じく解決への道筋は見えない。「中米両軍の関係が両国関係の安定につながるように努力する」(邵氏)との言葉がどこまで現実のものになるかは見通せないままだ。

トランプ米政権は2月、米国・ロシアによる中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明して新たな核軍縮の枠組みの必要性を提唱したが、中国は応じる構えをみせていない。貿易戦争で「持久戦」への覚悟を呼びかける習近平(シー・ジンピン)指導部は、安保面でも米国と距離をとり続ける公算が大きい。

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