大型ヘッドドライバーの効率よい飛ばし方(下)
(5)インパクトからフォロースイング
南田 最後にインパクトからフォロースイングに関してお話ししましょう。まず、お話ししたいのが力はインパクトで100%使い切りましょう。インパクトからフォローにかけてはクラブが惰性で動いていくイメージです。よくフォローでヘッドを加速させ、左耳でビュッと風切り音を聞けと言いますが、それを意識すると手でフォロースイングをしてしまい、頭がそれにつられて突っ込み、結果としてインパクトでのヘッドスピードが落ちてしまいます。
──まさに私のスイングです。
南田 そうですね(笑)。これを矯正する素振りドリルとしては、インパクトで右手グリップを離し、左手だけでフォロースルーを行う、というものがあります。インパクトで離した右手は手のひらが返って真下を向いていなければなりません。また、頭の位置もインパクト時の位置をキープしています。このドリルはクラブが手から離れて飛んで行ってしまうことがあるので十分注意しながら行ってください。



──このドリルはやる前は簡単そうに思えましたが、やってみると意外と難しいです。
南田 インパクトまでに力を100%使い切っていない証拠です。どうしても右手が強くてフォロースルーでも右手でスイングしています。そのため、右肩が前に振られて、上体が起き上がり、連動して頭も突っ込んでしまっていたわけです。右手が体の正面に残るようになると、フォロースルーで前傾もキープできますし、頭もインパクトの位置に残ります。ダウンスイングのところで行った「床反力の活用」のためには、フォロースルーにかけて前傾を維持したまま左膝を伸ばしていくことを思い出してください。このドリルを行うことで、スエーや上体の起き上がりがなくなり「床反力の活用」による動作も行うことができるようになります。最後に一連の動作を続けて実際にボールを打ってみましょう。
──明らかにヘッドスピードが上がっています。ありがとうございます! 正直に言いますと「床反力の活用」についてはできていないので、これができるようになればまだまだヘッドスピードが上がるということですね。とても希望が持てます。
南田 わずか2時間では無理があります。でも「クラブの性能を最大限に引き出す」に関しては良い感じになっています。ここまで、「アドレス」「バックスイング」「切り返し」「ダウンスイング」「インパクトからフォロー」とスイングを5つに分解して解説を行ってきました。その間いくつかのドリルや実験を行うことにより、「クラブの性能を最大限に引き出す」ことと「床反力の活用」について学んでいただきました。
──よく「クラブに仕事をさせる」と言いますが、その言葉の意味が何となくわかりました。「クラブに仕事をさせる」ためにはクラブの特性を理解していなければならないということですね。理解していないと「引き出す」どころか「邪魔をする」ことになってしまいます。

南田 そうですね。特にドライバーはパーシモンからメタル、チタンとヘッドが大型になり、それとともに進化し、現在も毎年のように新しいテクノロジーが生み出されています。一方で我々がその進化に適応できているのかというとなかなか難しい部分があります。プロでもアイアンとのつながりを考えてドライバーを小型のヘッドに変えている人がいます。でも「飛ばしたい」と考えるのであれば、クラブの進化に適応するスイングに見直していくべきだと思います。逆に「ゴルフは飛距離ではない」と思っている方はマッスルバックアイアンのような重心距離の短い、操作性の高いクラブがよいと思います。ここは考え方次第です。「床反力」についてはどうでしたか。
──今まで、「腰の回転」+「体重移動」を特に意識して練習してきたので、正直戸惑いもありますが、シニアになって体力が落ちてきている現状を考えると、このタイミングで本格的なスイング改造を行うべきだと考え始めました。また、「床反力の応用」は難しいですが、大きな飛距離を出すためには重要なので、少しでも長くゴルフを続けるためにも必要なのかもしれません。
南田 クラブの進化、加齢による体力の衰えなどを考えると、いつまでも同じスイングフォームにしがみつくことはできません。ですが、一から全部やり直しだと考える必要もありません。今の自分に必要な要素を取り入れながら徐々に改良を加えていけばよいのではないでしょうか。そのためにティーチングプロがいて、最新機器をそろえたスタジオがあるのです。スイングに迷ったらまたいつでもいらしてください。
(文:並木繁、協力:TAIKANZ GOLF=http://taikanz.jp/golf/)