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サクラエビ春漁打ち切りに 水揚げ量は3割以下

(更新)

静岡県特産サクラエビの春漁が予定の漁期を待たずに終了する。記録的な不漁が続いており、夏以降に産卵を控える親エビを保護する必要があるため。漁業者でつくる静岡県桜えび漁業組合(静岡市)が1日、前日の5月31日の漁をもって今春漁を終えると決めた。

春漁の打ち切りを発表する静岡県桜えび漁業組合の実石正則組合長(左)(1日、静岡市)

5日夜(6日朝セリ)まで漁をする予定だった。今春漁の水揚げ量は計85.3トンと、過去30年間の春漁で最も少なかった昨春の3割にも満たない。由比漁港の1日早朝のセリでは平均価格が1ケース(15キログラム)あたり14万4163円に達し、昨年春漁の最後のセリに比べ8割ほど高い。

組合は春漁開始に合わせて導入した自主規制のなかで、夏から秋にかけて産卵する成熟個体「頭黒」の割合を漁継続の判断基準の1つとしていた。31日の操業で水揚げした分で頭黒が急増したため、秋漁に向けて資源保護を優先すべきだと判断した。

不漁を受けて小売価格も例年の2倍以上に値上がりした

関係者は漁打ち切りを受けて表情を引き締める。加工業者のかくまつ岩松商店(静岡市)は「価格が2倍以上となれば売るのも難しい。競り落とす量も抑えた」と漏らす。

サクラエビは一般消費者向けに販売し、例年は大中小の3種類のパックで扱っていたが、19年は手が届きやすいように小のみにした。それでも「価格を見て買うのをやめる人もいる」。主力の商材なだけに「経営は厳しくなっている」という。

静岡市清水区で食品スーパーを展開するヒバリヤは、加工業者からの仕入れ価格が従来1キロ4700~5000円だったが、19年は同1万円程度とほぼ2倍に跳ね上がった。

苦肉の策として100グラムで398円だった売値を、30グラムに減らしたうえで398~450円にして売り場に並べている。「生サクラエビは仕入れた当日に売り切る。ロスをなくすため客数の多い大型店のみで扱っているが、高値のため実際に売り切るのはつらい」(仕入れ担当者)という。

秋漁までに流通価格がさらに高騰すれば「スーパーは手が出せなくなり、(希少性を武器にできる)土産物向けにしかほとんど出回らなくなるだろう」とみる。

サクラエビのかき揚げの人気は根強い(静岡市の「鮨処 やましち」)

JR東海道本線新蒲原駅から近い「鮨処 やましち」(静岡市)は、5月中旬から生サクラエビやかき揚げなどを各200~300円値上げした。しかし、女将の山崎伴子さんは「客からの注文は減っていない。むしろ『食べられるんだ』と驚かれる」と話す。

貴重な観光資源なだけに地元・由比地区の飲食店などは何とか秋漁までの分量を確保しているという。「不漁と言われているがゼロではない。地元に来れば楽しんでいただけるというのを発信したい」と力を込める。

秋漁までの休漁期間中は例年どおり産卵量など資源調査を進める。結果を見つつ、夏に秋漁の操業方針を策定する方針だ。組合の実石正則組合長は漁打ち切りについて「自主規制を強化して春漁に臨んでおり、ある程度の結果は想定できたが、やはり厳しい」と険しい表情を浮かべていた。

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