2019年7月17日(水)

ウーバー、強まる減速感 料理宅配など多角化に活路

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2019/5/31 22:00
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【シリコンバレー=白石武志】米ウーバーテクノロジーズの業績に減速感が強まっている。30日発表した2019年1~3月期決算では、1年前に7割近かった売上高の前年同期比伸び率が2割を割り込んだ。主力のライドシェア事業の収入はライバルとの競争にさらされ1桁成長にまで落ち込んでおり、料理宅配などの多角化戦略が成長のカギを握る。

ウーバーは料理宅配「ウーバーイーツ」などの多角化戦略が成長のカギを握る(東京都内)

ウーバーは料理宅配「ウーバーイーツ」などの多角化戦略が成長のカギを握る(東京都内)

「新規株式公開(IPO)を達成したことは誇りに思うが、より長い旅のほんの始まりにすぎない」。ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は決算発表でこう述べた。同氏は約2年前、社内セクハラなど不祥事まみれのウーバーの立て直しとIPOの成功を託され、米旅行サイト大手エクスペディアのCEOから転じた。IPOを果たした後に残る難題と向き合う。

ウーバーの19年1~3月期決算はサービスを担う運転手らへの報酬が負担となり、赤字体質から抜け出せない収支構造を再確認する内容となった。利用者から受け取る料金の約8割を運転手らに配分しているほか、販売促進や研究開発などの費用も重なり、最終損益は10億1200万ドル(約1100億円)と4四半期連続の赤字に沈んだ。

本業の成長力にも陰りが見え始めた。売上高は前年同期比19.9%増の30億9900万ドルと、業績が確認できる18年1~3月期以降で初めて伸び率が2割を下回った。主力のライドシェア事業は23億7600万ドルと9%増にとどまった。

ウーバーのアプリ上でマッチングしたライドシェアサービスの取扱高は19年1~3月期も22%増え、市場は拡大が続く。問題は米リフトなど競合との顧客・運転手の争奪戦にさらされ、ウーバーの取り分である手数料収入を思うように増やせていないことにある。

東南アジアの同業と比べ事業の多角化でも遅れた。生活インフラが十分に整わない新興国では、マッチングに強みを持つライドシェア事業者が消費者の様々な需要を取り込み始め、インドネシアのゴジェックは料理宅配や決済などの取扱高がライドシェアを上回っているという。シンガポールのグラブは19年中にネットで健康相談や診療予約ができる医療サービスを東南アジア全域で始める方針を示している。

ウーバーもライドシェア単線経営から脱しつつある。上場を機に開示した料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の売上高は5億3600万ドルと前年同期に比べ89%増加したことが判明した。サービス取扱高全体に占めるウーバーイーツの比率は1年前に比べ7.5ポイント上昇し、21%にまで高まった。

料理宅配サービスの参入障壁は低いとされる。米国だけでもドアダッシュやグラブハブなどの競合がいるが、ウーバーは高い知名度を生かした。現在は日本を含む世界500以上の都市で22万軒超の飲食店と取引する。中国を除く地域では世界最大の料理宅配プラットフォームに成長した。

30日の終値ベースでウーバーの株価は公開価格(45ドル)を12%下回るが、一足先に上場したリフトの株価が公開価格(72ドル)を24%下回っているのに比べ下落率は小さい。株式市場には「ライドシェアリングのプラットフォームをより幅広い(成長の)エンジンに変える力がある」(米証券会社ウェドブッシュ)と潜在的な成長力を評価する声もある。

ウーバーのコスロシャヒCEOは30日、ライドシェアを起点に料理宅配などに事業を広げる戦略について「(単一のサービスだけを扱う)モノラインの競合先に比べ、構造的な優位性をもたらすものだ」と強調した。

もっとも世界で約8000億ドルとされる「中食」市場にはネットの巨人も関心を寄せる。5月中旬、米アマゾン・ドット・コムが英料理宅配サービスのデリバルーに出資したことが判明し、直後に欧州の料理宅配の同業の株価は軒並み下落した。ウーバーは新たな収益源を育てられるか。アマゾンの足音も聞こえる中、時間との勝負になりそうだ。

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