製造業に停滞感、生産増でも在庫高水準 新規求人は減少

2019/6/1 1:31
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国内製造業の停滞感が強まっている。4月の生産は2カ月ぶりのプラスとなったが、年初の落ち込みからの回復は鈍い。中国向けの輸出低迷などで在庫は約6年半ぶりの水準まで積み上がっている。求人倍率は高水準を維持するものの、景気の先行指標とされる新規求人数は3カ月連続で前年割れだ。米中貿易摩擦の余波がさらに広がることに懸念が高まっている。

経済産業省が31日公表した鉱工業指数(2015年=100、季節調整値)速報では、在庫の高止まりが顕著だ。4月は103.8で前年同月比で6カ月連続で上昇した。12年12月に景気回復局面に入って以降では最も高い水準になった。

生産指数は102.8で前月比0.6%上昇したものの、「10連休を控えた前倒し生産があった可能性が高い」(大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト)。1~3月のマイナス2.5%の大幅な落ち込みからの戻りは鈍い。電子部品・デバイスなどが引き続き前月を下回り、米中貿易摩擦で中国向けの輸出が低迷している。

生産と在庫のバランスを示す在庫循環図に当てはめると、4月は前年同月に比べて生産が減って在庫が増える「在庫積み上がり局面」になった。景気後退期の初期によく見られる動きだ。

農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、電子部品や生産機械など「中国向け輸出が多い業種で在庫が積み上がっている」と指摘する。

改善が続いてきた雇用情勢にも変調の兆しが見える。厚生労働省が31日発表した4月の有効求人倍率は1.63倍(季節調整値)と高水準だった。ただ製造業の新規求人数は前年同月比4.6%減の9万3711人にとどまり、3カ月連続で前年割れとなった。

電子部品・デバイス・電子回路が22.9%減り、情報通信機械器具も21.6%減だった。工場などで働くパートタイマーの減り幅も大きい。企業が景気の先行きを心配し一時的な雇用を見合わせる動きがうかがえる。

雇用に支えられて持ち直しの動きが続いてきた消費も、マインドの悪化傾向が鮮明だ。内閣府が31日発表した5月の消費動向調査では、消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整済み)が前月比1.0ポイント低い39.4と8カ月連続で前月を下回った。

15年1月以来、4年4カ月ぶりの低い水準だ。指数は(1)暮らし向き(2)収入の増え方(3)雇用環境(4)耐久消費財の買い時判断――の個別4項目すべてが低下している。

内閣府は複数の統計指標を合成して算出する「景気動向指数」の4月分を6月7日に発表する。3月分の基調判断は6年2カ月ぶりに「悪化」に転じた。判断は数カ月単位の指数の推移から機械的にはじくため、4月分も引き続き「悪化」となる公算が大きい。

一方、政府は月例経済報告で公式の景気認識を示している。企業収益や雇用・所得などを総合的に判断するもので、直近の5月でも「回復」の表現を維持している。

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