仮想通貨は「暗号資産」に、広がる規制 改正法が成立
仮想通貨に新たな規制の網が広がる。31日、交換業者などへの規制強化策を盛り込んだ資金決済法と金融商品取引法の改正法が参院本会議で可決・成立した。明確な規制がなかった取引そのものに制限がかかり、仮想通貨の名称は「暗号資産」に変わる。今後、交換業者の新規参入は増え続ける見通しで、利用者の保護と技術革新の両立が課題となる。

2020年4月に施行予定の改正法の柱は、仮想通貨取引の規制だ。少ない元手で多額の売買ができる証拠金取引について、ドルや円などの外国為替証拠金(FX)取引と同様に金商法の規制対象とする。別途、内閣府令で証拠金倍率の上限を2~4倍と定める方向だ。
金融庁は17年4月、資金決済法で交換業者に登録制を導入したが、取引そのものには明確な規制がなかった。国内の取引の大半は証拠金取引が占めている。投機熱の高まりを懸念する声も強いため規制に動く。
仮想通貨の不正流出に備え、交換業者への規制も強める。顧客から預かる仮想通貨を安全性の高いセキュリティー手法で管理させるほか、弁済原資の確保を義務づける。
利用者が不利益を受けないよう、投機を助長する広告や勧誘は禁止する。取り扱う仮想通貨を変える場合は金融庁に事前に届け出が必要になる。
仮想通貨を巡っては18年にコインチェックで約580億円分が流出するなど、交換事業者の管理体制の問題が相次いで浮上し、利用者離れが進んだ。ただ最近では、ビットコインが5月に9000ドル台(約98万円)と18年末比で2倍以上に高騰するなど、再び取引が活発になる兆しも出ている。
仮想通貨の交換業者は今後も増える見通し。現在は100社以上が登録待ちの状態だ。金融庁はマネーロンダリング(資金洗浄)対策などを厳格に審査した上で順次、登録作業を進める。