北朝鮮、対米交渉幹部ら処分説 米朝協議の再開見えず

2019/5/31 17:56
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【ソウル=恩地洋介】2月末の米朝首脳会談の決裂を受け、北朝鮮で対米協議を担ってきた幹部らが一斉に処分された説が浮上した。5月31日付の韓国紙大手、朝鮮日報が北朝鮮消息筋の話として報じた。情報の真偽は不明だが、関係者の動静が途絶えているのは確かだ。非核化交渉を再開する指導部の体制が整っていない可能性がある。

北朝鮮の金革哲米国担当特別代表=共同

報道によると、米国との対話を当初から担ってきた金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長は北部慈江道で強制労働に従事し思想教育を受けている。4月の最高人民会議(国会に相当)では党副委員長の続投が決定。朝鮮中央通信が配信した指導部の集合写真にも金正恩(キム・ジョンウン)委員長の真後ろに立つ姿が写っていた。

2回目の米朝首脳会談に先立ち、米国との事前協議を任された金革哲(キム・ヒョクチョル)米国担当特別代表は3月に処刑されたと報じられた。交渉団の一員だった統一戦線部のキム・ソンヘ統一戦線策略室長や通訳の女性は政治犯収容所に送られ、金正恩氏の実妹、与正(ヨジョン)氏は謹慎中だという。

韓国大統領府の関係者は31日、同報道に関して「拙速な判断は適切ではない」と具体的なコメントを避けた。情報機関の国家情報院は国会の委員会に「関連動向を追跡中」などと報告した。脱北した北朝鮮の元外交官は日本経済新聞に「いくら北朝鮮でも処刑までするかは疑問だが、対米責任者の処分は十分ある」と指摘した。

米朝会談の決裂、失敗の情報は北朝鮮の市民にも広がり、経済制裁が長引くことへの不満が蓄積する懸念があった。北朝鮮事情に詳しい脱北者は「金正恩氏には失敗の責任がないことを明確にする意味がある」との見方を示す。

対米交渉を実質的に担ったメンバーで残留が確認されているのは崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官だけだ。責任者の不在は指導部の対外政策にも影響を及ぼす。4月末のロ朝首脳会談は成果を得られず、段取りの細かなミスなど現場の混乱も目立った。

北朝鮮は米国に一方的な譲歩を迫り、短距離ミサイルの発射による挑発も再開した。協議を始められない原因は、北朝鮮側の深刻な内部事情にもありそうだ。

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