ターンブル豪前首相「米のメキシコへの関税、歓迎せず」

アジアの未来
2019/5/31 17:22
保存
共有
印刷
その他

オーストラリアのターンブル前首相は31日、国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演した。トランプ米政権がメキシコの不法移民対策への不満から、同国の輸入品に追加関税を課すと発表したことに対し「安全保障上の目的を達成するために関税を利用するのは歓迎できない」と懸念を表明した。各国で台頭する保護主義について「低成長のワナから脱出するはしごではない。より深みに落ちるシャベルだ」と批判した。

「アジアの未来」で講演するターンブル・前オーストラリア首相(31日、東京都千代田区)

米中貿易戦争については「(状況は)悪化している。日本や豪州を含むあらゆる国に悪影響を及ぼす」と指摘した。「持続的な成長と繁栄維持のため、アジアが自信をもってリーダーシップを果たすべきだ」と訴えた。

豪州は米国が環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱した後、安倍晋三首相と共にTPP11交渉を推進した。ターンブル氏は「シンゾウと一緒にTPPをよみがえらせたことは私の最大の成果の1つだ」と振り返った。

ターンブル氏は豪州が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が次世代通信規格「5G」に参入するのを事実上禁止していることについて「5Gは(あらゆるものがネットにつながる)IoTのプラットフォームだ。それをコントロールしようという意図と能力があれば脅威となる」と説明した。

豪州では政治献金や直接投資を通じ、影響力を強めようとする中国への警戒が強まっている。ターンブル氏は18年に成立した外国企業からの献金などを禁じる法律について「直接的に中国を狙い撃ちにしたものではなく、豪州の主権を守るのが目的だ」と述べた。

一方で「強大な中国は、周辺国も強くするだろう。だが、ルールにのっとった秩序を犠牲にしてはならない」と強調した。南シナ海については「全ての国に航行と上空飛行の自由が認められるべきだ。軍事拠点化は認められない」とした。

トランプ大統領は貿易赤字を問題視し「不公正だ」と批判している。ターンブル氏は「貿易が公正かどうかは貿易収支だけでは測れない」と指摘した。「豪州は米国に対し貿易赤字を抱えるが我々は米国を不公正だと言わない」と述べた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]