2019年7月20日(土)
時価総額(普通株式ベース)
  • 東証1部 5,972,394億円
  • 東証2部 70,364億円
  • ジャスダック 88,370億円
東証1部全銘柄の指標
連結前期基準予想
純資産倍率 1.15倍 --
株価収益率13.98倍13.54倍
株式益回り7.15%7.38%
配当利回り2.06% 2.07%
株式市場データ

最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) 21,466.99 +420.75
日経平均先物(円)
大取,19/09月 ※
21,380 +370

日経チャンネルマーケッツでは、マーケット・経済専門チャンネル日経CNBCの番組をライブ配信。配信中の番組から注目のトピックスをお届けします。

「鈴木亮の視界亮行」[映像あり]

7月19日(金)14:20

大日本住友が豪iPS企業に買収提案 約200億円[映像あり]

メルカリ 業績観測報道「戦略的事業へ投資で費用増」

7月19日(金)13:00

[PR]

マーケットニュース

フォローする

「現代奴隷」は市場に訴える(一目均衡)
アジア総局編集委員 小平龍四郎

2019/6/3 5:30
保存
共有
印刷
その他

令和の株式市場で「奴隷」などという言葉を持ち出せば、いつの時代の話かと顔をしかめる投資家も多いだろう。しかし、日本企業の今後のアジア戦略を考えるうえでキーワードの一つになる可能性があるとしたら、どうか。

人身取引にかかわらないよう訴える空港の掲示(バンコクのスワンナプーム国際空港)

人身取引にかかわらないよう訴える空港の掲示(バンコクのスワンナプーム国際空港)

2019年初めからオーストラリアで「現代奴隷法」(Modern Slavery Act)という法律が施行されている。企業がグローバルなサプライチェーンの労働環境を点検し、問題を改善したうえで状況を開示するよう求めている。手本となった英国は15年に同様の法律を制定している。英語圏を中心に、世界各国に広がっていく気配が感じられる。

この、何ともどぎつい名前の法律がつくられた背景にあるのは、企業のグローバル化だ。世界中に生産・販売網を張り巡らせた先進国の企業が、低賃金や長時間労働など劣悪な奴隷同然の環境を、新興国の人たちに強いているのではないか。そんな世論を国際人権NPO(非営利組織)が盛り上げた。ビジネスの持続可能性を重視する北欧の年金などが人権NPOに接近し、現代奴隷に象徴される労働・人権問題を投資判断に加えるようになった。

今や、特に欧州では「ビジネスと人権」が市場で話題になることは、それほど珍しいことではない。むしろ、人権問題に鈍感な企業は消費者から信頼されず、ブランドが毀損。めぐり巡って企業価値や株価にも悪い影響が及ぶと考えられている。

スウェーデンのアパレル大手、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)はカンボジアやバングラデシュの生産現場の労働環境を、NPOや投資家から批判されることが多かった。今年1月にH&Mは国際労働機関(ILO)と連名で生産現場の環境改善にいっそう取り組むとする宣言を発表。労働問題の重要さを印象づけた。

日本企業で注目したい事例は、ユニクロを運営するファーストリテイリングだ。かねてバングラデシュの取引先工場の防災体制をウエブなどで詳述するなど、アジアの労働環境に目配りしてきた。今年はさらに人権に関するページを新設し、自社の人権ポリシーを明示している。

ANAホールディングスは昨年、世界的に珍しい「人権報告書」を公表した。人権の視点で事業リスクを分析する切り口は、時に読むものをどきっとさせる。

例えば、こんな部分だ。「エアラインが提供するサービスは意図せず、第三者によって人権侵害に利用されてしまうリスクを有しており、その代表的なものが人身取引です」。平たくいえば、外国に売られていく人が航空機に乗り合わせているかもしれない、ということだ。この文言を読んで以来、私は飛行機に乗るたびに周囲の席を見渡すようになった。

ANAは米国NPOの力も借り、すべての客室乗務員に人身取引が疑われる行動事例などについて教育も実施。仮に、機内で疑わしい行為があった場合は入国管理局に連絡する手はずも整えた。

世界有数の水産大国タイ。この地では「海の奴隷」という言葉を時折耳にする。英国の環境・人権団体が名付けたもので、漁業の現場でミャンマー人労働者の虐待や人身取引が行われているという指摘にもとづく。

事実関係はともかく、告発があった以上、企業は自ら潔白を証明する必要にも迫られる。ツナ缶の世界最大手タイ・ユニオン・グループは遠洋漁協の現場で暴力行為などが起きていないかどうかを監視する体制を構築。株主向けの報告書も出している。

投資の世界ではここ数年、環境や人権問題への取り組みなどを判断要素に取り入れるサステナブル投資が隆盛をきわめている。その規模は18年初めに30兆ドルと2年間で34%増えた。

日本で温暖化ガスの排出抑制をアピールする企業が増えたり、大手銀行が石炭火力発電事業への新規融資を止めたりする動きも、背景の一つは市場の圧力だ。世界に目を転じれば環境と並んで人権も投資判断に取り入れられている。環境・人権問題の多くは、先進国企業のサプライチェーンに組み込まれたアジアで起きている。

新冷戦の様相を強める米中貿易戦争を受け、中国向け輸出の代替地として注目を集めているベトナム。南部ホーチミンのファンド関係者の会合に顔を出した。

足元の景気や投資環境の良さは言うまでもない。東南アジア全域の成長率が5%前後であるのに対して、ベトナムは約7%を維持。ファンドの投資額は昨年に30億ドルと1年前の4倍に膨らみ、今年も高水準を保つ。景気の良い話ばかりだろうと思っていたが、よく取材すると雰囲気が違う。労働環境や人権問題への言及が聞かれるなど、日本では見えにくいアジア投資の一断面を印象づけた。

CVCキャピタル・パートナーズのマネジング・ディレクター、ピート・ボー氏は「投資先企業の労働環境を国際水準に引き上げるなどの対応が重要になっている」と話してくれた。高成長と低賃金だけに注目して投資に走るのは危うい。そんなメッセージだ。

ベトナムなど東南アジアをサプライチェーンに組み込めば、先進国ではあまり意識されない「ビジネスと人権」のリスクにも、企業は向き合わざるを得ない。その対応や情報開示の姿勢も投資家に評価される時代である。

(ホーチミンで)

マーケットニュースをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップマーケットトップ

読まれたコラム

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。