2019年9月16日(月)

安保協力、ロシアに思惑 陸上イージスに懸念表明
2プラス2、日米同盟に揺さぶり

2019/5/31 2:00
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日ロ両政府は30日、都内の飯倉公館で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いた。ロシア側は日本が導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」への懸念を伝え、北方領土での軍備強化も正当化した。日本はロシアとの安全保障協力を領土問題の解決に向けた信頼醸成と位置づけるが、ロシアには日米同盟を揺さぶる思惑もある。

日ロ外務・防衛閣僚協議を前に記念撮影に応じる(右から)岩屋防衛相、河野外相、ロシアのラブロフ外相、ショイグ国防相(30日、東京都港区の外務省飯倉公館)=代表撮影

2プラス2には日本側から河野太郎外相、岩屋毅防衛相、ロシア側からラブロフ外相、ショイグ国防相が出席した。河野氏は冒頭「不透明かつ不安定なアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえれば、2プラス2の開催は時宜にかなっている」と強調した。

協議では北朝鮮の非核化に向けて連携することで一致した。2プラス2に先立つ防衛相会談では6月中旬に海上自衛隊とロシア海軍による捜索・救難訓練をウラジオストクで実施することを確認した。今年後半にロシア海軍総司令官が訪日することも申し合わせた。

一方で立場の違いも浮き彫りになった。

たとえば日本がミサイル防衛の要として配備を計画する米国製のイージス・アショアだ。改めて懸念を示したロシア側に、岩屋氏は「純粋に防御的なものでロシアをはじめとする国々に脅威を与えるものでは決してない」と説いた。

河野氏は北方領土でのロシア軍の動きについて「我が国の法的立場から受け入れられない」と強調した。ロシア国防省機関紙「赤い星」は22日、ロシアが北方領土で昨年秋に新型地対艦ミサイル「バル」の発射演習をしたと報じている。ラブロフ氏は「ロシアの領土でのロシア軍の活動だ」と主張した。

連携で一致した北朝鮮の非核化についても、ラブロフ氏は段階的な制裁解除を唱えた。

2プラス2は首脳間で確認した安全保障の方針を具体化する協議の枠組みだ。日本は同盟国の米国のほか、準同盟国と位置づける英国やオーストラリアなどと2プラス2の枠組みを持つ。

ロシアと年1回のペースで2プラス2を開く日本の対応は主要7カ国(G7)では異例だ。米欧は2014年3月にクリミア併合を宣言した後、ロシアとの防衛交流を控えているからだ。日ロはクリミア併合後に途絶えた2プラス2を17年3月に再開し、今回で4回目にあたる。18年7月にモスクワで開いてから1年もたっていない。防衛省関係者によるとロシアの主導で開催した。

ロシアは日米同盟にくさびをうつため、日本との安保協力に積極的だ。ラブロフ氏は協議冒頭から米国批判を展開した。トランプ米政権が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄をロシアに通告したことを念頭に「米国は世界のどの地域でも絶対的な優位を確保するため、軍備管理の様々なフォーマットから撤退を始めている」と指摘した。

ラブロフ氏は2プラス2終了後の共同記者発表で「安全保障の不可分性の原則」を訴えた。一国の安全保障は他国の安全保障を犠牲にすべきでないという概念だ。日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想を開かれていない枠組みとして警戒感を示した。

日本側は北方領土問題の進展に向けてロシアとの安全保障上の信頼醸成が不可欠と認識している。ロシアは領土交渉で返還することになっても、島に米軍を配備しないことを明文化するよう求めている。外務省関係者は「北方領土問題は最終的には安全保障の問題だ」とみる。

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