2019年8月21日(水)

阿波おどり「総踊り」復活 4演舞場で日替わり実施

2019/5/31 7:01
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徳島市の阿波おどりで今年、クライマックスの「総踊り」が2年ぶりに復活する。昨年、徳島市など主催者側と激しく対立していた14の有力踊り子団体(連)で構成する協会が今夏の祭りへの全面協力を表明した。徳島観光の目玉である阿波おどりの混乱が長引けば、地域経済への影響が大きいとの懸念が広がっていただけに多くの関係者に安堵感が広がる。

振興協会による総踊りは祭りのキラーコンテンツとして期待が大きい(2018年9月、徳島市内でのチャリティーで)

阿波おどり振興協会の山田実理事長は記者会見で今夏の祭りへの全面協力を表明した(29日、徳島市内)

阿波おどり振興協会の山田実理事長は29日の記者会見で総踊り復活を表明し、「昨年と同様に協力しない姿勢を続けることは(徳島経済の)全体のマイナスになる」と強調。前夜祭を含めた祭り期間中(8月12~15日)の演出全てに協力することを言明した。

これにより同協会所属の14の連が一斉に踊り込む「総踊り」は、市内4カ所の有料演舞場で日替わりに実施することが固まった。有料演舞場での総踊り復活で、31日に団体向けから始まるチケット販売の追い風となりそうだ。

振興協会の協力表明に対して、実行委員会委員長の松原健士郎弁護士は「徳島の伝統文化を守り、徳島経済を守るという見地から、協力いただけるという英断に心から敬意を表する」とコメント。遠藤彰良市長も「全国の阿波おどりファンに向けて洗練された踊りを存分に披露していただきたい」と期待を示した。

今年から祭りの運営を担うキョードー東京(東京・港)を核とする共同事業体の総責任者、前田三郎キョードーファクトリー社長は「ほっとした。これで徳島に笑顔が戻ってくる」と語った。前田氏は「総踊りはキラーコンテンツ(観光客を呼べる演出)だ」と評しており、振興協会の協力いかんによってはチケットの販売動向が左右されかねなかったためだ。

前夜祭や有名連が踊りをホールで披露する選抜阿波おどり、有料演舞場のチケットは旅行業者など団体向け受け付けが31日からスタート。南内町演舞場の特別席の先行販売が6月15日から、全会場・全席種の一般販売が7月1日から始まる。

昨年は主催者と振興協会との対立から、一般販売が始まる直前になっても出演する連が決まらない異例の事態となり、チケット販売が低迷。結果的に全チケットの3割以上が売れ残り、全体収支が約2900万円の赤字となる主因となった。

祭りの収支だけでなく、旅行業者、ホテル、飲食店、土産物店なども阿波おどり混乱による影響を受けた。関西方面からの日帰り観光バスツアーは客が集まらずに相次いでキャンセルとなったほか、祭り期間中の稼働率が例年に比べ2割近く落ちたホテルもあった。

ホテルグランドパレス(徳島市)の岡本真一郎社長は「振興協会は大人の対応をした。協力表明は大歓迎だ。今年は昨年落ち込んだ分を取り戻すだけでなく、さらなる展開も考えられる」と、民間の共同事業体が今後打ち出すとみられる新たな集客策の波及効果に期待している。(長谷川岳志)

共同事業体の運営に期待 山田・振興協会理事長

阿波おどり振興協会の山田実理事長は29日の記者会見で「県外観光客が減っている中、阿波おどりを盛り上げることを最優先させた」と語った。山田理事長の会見での主な発言は以下の通り。
 「笑顔で心の底から望んで阿波おどりを成功させることに努力を惜しまない。これは振興協会に所属する踊り団体(連)全てが一致した。1年間踊りの練習を続けている1800人の踊り子全員からも『踊りたい』という正直な気持ちが伝わってきた。昨年と同じように主催者の方針を不服として協力をやめるということは、全体のマイナスになると判断した」
 「昨年の実行委員会委員長だった遠藤彰良徳島市長に対する感情的なわだかまりはある。だが、今はそんな低レベルの争いをしている段階ではないと考えた。我々は『踊る阿呆(あほう)』になる。所属連にはこれまで以上にレベルアップした踊りを披露できるよう練習するよう伝えた」
 「今年から運営を担う民間の共同事業体には期待をしている。特に総責任者の前田三郎さんの音響や舞台設営に対する考え方や見識には共感している。形状が異なる4つの演舞場で『総踊り』を日替わりで実施するのは容易ではない。正式に全面協力を表明したことで、今まで以上に共同事業体との連携を取っていくつもりだ」

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